横浜ゴムは12月18日、稼働中のコンベヤベルトをリアルタイムで遠隔監視し、異常を検知するセンシング技術を確立したことを発表した。今後はセンシング技術で検知したデータに基づいてコンベヤベルトの最適な運用管理を提案する総合ソリューションサービスの構築を進め、2027年中のサービス提供を目指す。
今回確立したセンシング技術は2022年2月~2024年12月までフィールド実証テストとして実際に稼働している製品で検証したもの。コンベヤベルト内部に通常の点検では確認できない微細な状態変化を検知可能な独自開発のRFIDタグを内蔵し、摩耗や損傷、温度変化などの各種数値データをインターネット経由で同社の開発部門へ送信する。今後同社が構築を進める総合ソリューションサービスでは、これらのデータをクラウドネットワークで共有することによりユーザーによる異常の早期把握を可能にし、損傷や火災発生リスクの予知をサポートする。さらに、センシング技術が検知したデータを同社の専門スタッフが分析することで最適な運用管理を提案する。なお、同社はセンシング技術および管理システムに関連する特許を13件出願しており、継続的に知的財産の蓄積も進めていく。
センシング技術を活用した総合ソリューションサービスを利用することで、潜在的なリスクを検知して事故を未然に防ぐなど安全性を向上させるほか、保全コストの削減といった経済性にも貢献する。また、点検作業の負担軽減やメンテナンスの省力化により作業現場の課題となっている人手不足にも対応する。さらに、同社の専門スタッフによる運用管理により、適切な点検頻度や交換サイクル、製品仕様の最適化などユーザーごとに異なる使用環境や要望に合った最適な提案を実現する。同社の総合ソリューションサービスを利用し最適な運用管理を実現することは製品の長寿命化にも寄与し、製造時のCO2排出量や原材料の削減など環境課題への貢献も期待できる。
同社は2024年度から2026年度までの中期経営計画「ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーロク」に取り組み、MB事業のひとつである工業資材事業のコンベヤベルトにおいては国内での確固たる市場地位の確立を目指している。その実現に向けた活動の一環として、ユーザーの安心・安全と経済性に貢献する新たな付加価値を創造していくとしている。