住友化学が株式売却 輸入アルミニウム事業から撤退

2024年12月23日

ゴムタイムス社

 住友化学は12月19日、同社が保有する日本アマゾンアルミニウム(同社持分比率2・97%)の全株式をYKK APに売却することとしたと発表した。2024年5月に公表した海外アルミニウム製錬企業2社の株式売却に続き、今回の売却をもって、同社は輸入アルミニウム地金のリセール事業から撤退することとした。
 なお、同社が愛媛県新居浜市の愛媛工場で製造する高純度アルミニウム事業については、高い技術力により世界トップの品質を有しており、引き続き、半導体や表示材料をはじめとするICT&モビリティ分野での事業拡大を図っていく。
 同社のアルミニウム事業は、1934年に設立した住友アルミニウム製錬を端緒としている。1976年にはアルミニウム生産能力が国内最大規模となり、60年代後半から70年代にかけてインドネシア、ニュージーランド、オーストラリア、ブラジルなどでのアルミニウム製錬に参画した。オイルショック後は国内製錬から撤退するとともに、上記製錬拠点から調達した地金を輸入・販売する事業に転換し、住宅建材・電線・包装材・電子部材・自動車部材などの用途で国内の多くのユーザーにアルミニウムの安定供給を行ってきた。
 このたびの海外アルミニウム製錬企業株式の売却、ならびに、輸入地金のリセール事業からの撤退は、同事業が国際アルミニウム市況の影響を強く受け、損益面でのボラティリティが大きいことなどを踏まえて判断したもの。
 同社は、2024年度の確実な業績V字回復と、今後の抜本的構造改革に向けた財務体質強化を狙いとした「短期集中業績改善策」を進めており、同決定は事業ポートフォリオ見直しの一環となる。
 一方、アルミニウム製錬事業で培った技術、人材などの経営資源は、今日の同社におけるアルミニウム・アルミナを含む無機材料事業の礎となっている。愛媛工場で生産している高純度アルミニウム、高純度アルミナ製品については、半導体やライフサイエンス分野などの高付加価値品分野での事業拡大に注力し、これまで以上に経営資源を投入していく。

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