三井化学は12月19日、製品の安全輸送において車両の動態監視による重大事故の未然防止および事故発生後の2次災害防止としてQRコード化したイエローカードの本格運用を開始したことを発表した。
24年1月より車両の動態監視、イエローカードのQRコード化の実証実験を進めており、今回、その有用性が確認されたため、本格運用を決定した。
同社グループの製品には、国連の「危険物輸送に関する勧告」や高圧ガス保安法、消防法毒劇物取締法などの国内法に規定される危険物がある。これらの製品(以後、危険品)は、物流会社の協力を得て安全な取り扱いおよび輸送の確保を図っている。しかしながら、車両の事故・火災情報のうち、大型貨物車両の火災の事例も多数あることから、車両の動態監視をシステム化した。
危険品輸送時の車両のタイヤには、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)を導入した。また、高圧ガス保安法により、液化ガスを輸送する際には移動開始/終了時の圧力と漏れ等の異常確認が義務付けられているが、従来は乗務員によるアナログ計器を目視確認していた。これに対して、同社のプラント監視システムを応用したローリー車のタンク内の温度、圧力を監視するシステムを導入することで、数値をデジタル変換し、乗務員/運行管理者が遠隔で異常の予兆検知と予防措置が可能となった。
危険品輸送時には、緊急連絡カード(イエローカード)の紙面による携行が義務付けられている。同社では、このイエローカード情報をQRコード化し、輸送車両に貼付しての運行を開始した。この取り組みにより、事故などの迅速な処置による減災が期待できる。今後も、危険品輸送時のDX技術を導入した高度な安全監視システムを積極的に導入し、安全・安定輸送の向上を図っていく。
同社物流部は、物流RCのDX化、共同物流DX、物流BIによる可視化を3本柱として、これからもデジタルを活用した物流DXを推進し、物流環境変化に柔軟に対応できる強靭なサプライチェーンを追求していくとしている。