三井化学が生成AI活用開始 特許調査時間を80%削減

2024年12月26日

ゴムタイムス社

 三井化学は12月25日、化学分野における実験結果の表の読み取りや化学構造式の理解など、化学分野特有の専門性の高い業務ニーズに対応するため、独自開発の生成AIチャットを搭載したプラットフォームを開発したことを発表した。2024年度内に事業部や研究開発部門での利用を通して実証実験を完了し、2025年度から社内での本格運用を開始する。
 本取り組みは、事業領域のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進し、新製品開発のアイデア創造や製品のトップライン(売り上げ)、マーケットシェアの拡大を目指すもの。同社の研究者や技術者が持つ化学の専門知識と生成AIを組み合わせることで、従来の手法では見出せなかった新たな価値に繋げる。

 今回開発したプラットフォームは、3つの機能を備えている。第一に、膨大な特許情報からユーザーの質問に応答する特許分析機能を搭載し、特許調査、課題抽出、技術動向調査に役立てることができる。第二に、大規模な特許情報から新規用途探索に必須の情報を導き出す新規用途探索機能を組み込んでおり、新規用途の発見や用途候補の立案を支援する。第三に、社内情報およびウェブ情報から営業活動に関する知見を引き出す営業支援機能を実装し、市場調査、営業先発掘、競合分析などに活用できる。

 「特許分析」機能と「新規用途探索」機能については、事業部や研究開発部門の協力を得て行った実験において、80%の業務時間削減効果が確認された。特に、構造式や表形式データを含む技術文書の解析において、従来の手法と比較して大幅な効率化が期待できる。また、「営業提案」機能は、文章データのみならず、表形式のデータや化合物の構造式からも情報を抽出・解析することが可能で、化学分野特有の複雑な情報処理ニーズに対応している。

 この取り組みを通じて得られた知見は、化学業界全体の発展に寄与するべく、産学連携や他企業との協業も積極的に推進していく方針としている。

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