東レは12月26日、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に沿って、同社グループの生物多様性・自然資本への対応をまとめた「東レグループTNFDレポートVer・1 」を発行したことを発表した。国内化学繊維メーカーとしては初めての発行となる(2024年12月現在)。
同社グループは、2018年に「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」を策定し、「2050年に向け東レグループが目指す世界」の一つとして、「誰もが安全な水・空気を利用し、自然環境が回復した世界」すなわちネイチャーポジティブの実現を掲げ、生物多様性保全を温室効果ガスの削減と並ぶ地球環境問題の重要なテーマと位置付けている。
生物多様性保全については、2010年に社内横断のワーキンググループを発足し、「東レグループ生物多様性基本方針」に基づいて課題を策定し、優先順位を付けて取り組みを推進してきており、TNFD提言に賛同する以前から一貫して生物多様性への取り組みと情報開示に努めてきた。
そして、2024年1月には、TNFD提言への賛同を表明するとともに、同提言の早期採用者(TNFD Early Adopter Adopter)に登録した。
今回、TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿って、自然関連の依存と影響、機会とリスクを評価し、これらが同社グループのビジネスモデル、バリューチェーン、戦略、収益に与える影響を踏まえた上で、自然関連課題の解決に向けた戦略を策定した。
同社グループにおいて重要度の高い取り組みは、「環境負荷物質の削減」「水の利用効率向上」「GHG排出量の削減」「循環型社会の実現」「天然資源利用の削減・効率化」「自然・生態系保全」の6つの項目に分類される。そして生物多様性・自然資本とカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーとの間の相互作用を明確にして、トレードオフにならず相乗効果を生むよう統合的・一体的に取り組みを推進していく。
「東レグループTNFDレポートVer・1」では、これらの内容とともに、同社グループにとって生物多様性・自然資本に関する依存と影響、機会とリスクが存在する優先地域の特定、該当地域の実態を調査した結果や同社グループの生物多様性・自然資本に係る具体的な取り組みを開示している。
同社グループは、1926年の創業以来、「企業は社会の公器であり、その事業を通じて社会に貢献する」との経営思想の下、さまざまな地球環境問題に対し、革新的な先端材料の創出を通じて本質的なソリューションを提供していくことが、同社グループの変わらない使命だと考えている。
今後も同社グループは、「すべての製品の元となる素材には社会を本質的に変える力がある」との信念の下、「誰もが安全な水・空気を利用し、自然環境が回復した世界」すなわちネイチャーポジティブの実現に向けて、社会全体の持続的発展に貢献していくとしている。