ハイケムは1月6日、リコーが保有する高分子量PLAに関する技術及び知識に関する知的財産権を同社に譲渡する契約をリコーと締結したことを発表した。
同社とリコーは、2021年より高分子量PLAを超臨界二酸化炭素を用いて、量産化するための開発を共同で推進してきた。今般の譲渡により、更なる開発を推進すると同時に、本技術の知的財産権を継承し、中国をはじめとする世界各地におけるライセンス活動を展開する。
高分子量PLAとは、重量平均分子量が30万以上のポリ乳酸(PLA)のことを言う。ポリ乳酸(PLA)は、一定の環境下で水と二酸化炭素に分解する(生分解性)ため、環境汚染の低減が期待できる。一方で、化石由来のプラスチックと比べると分子量が低く、化学構造が単純なため、強度や耐熱性が低いことが問題になっている。リコーがこれまで培ってきた超臨界二酸化炭素を用いた可塑化重合法で、高分子量PLAを製造する技術を開発した。
同社は中国最大のポリ乳酸(PLA)メーカーである安徽豊原集団と事業戦略パートナーシップ契約を締結するなど、生分解性材料のマーケット開拓にいち早く取り組んできた。また、PLAのみならずポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)や海洋分解性樹脂(PHA)など合計7種類の生分解性材料を輸入販売する体制を構築している。また、2021年12月には、次世代のPLA素材「ハイラクト」を発表し、アパレル向けのPLA繊維の開発にも取り組んでいる。
同社は、日本と中国の化学品市場における深い技術的知見とマーケット開拓力に、自社の研究開発力と製造能力を掛け合わせることで、ライセンス事業を発展させてきた。特にSEG(Syngas to Ethylene Glycol)技術と呼ばれる合成ガスからエチレングリコールを製造する技術については、中国を中心にマーケティング活動を展開し、総生産能力約1千万トン/年、合計23件のライセンス契約を締結するなど、日本のコア技術の社会実装の実績も豊富。更に、中国・江蘇省南通市に自社触媒工場を、日本と中国に自社研究施設を保有しており、高品質な触媒の提供およびプロセスの改善・改良、スケールアップについて多数の実績を有している。
同社は、今後も優れたマーケティング力と技術力をベースにライセンス活動をグローバルに展開し、日本の優れた技術を世界各地に展開し、社会実装を果たしていくとしている。