年頭挨拶 東ソー 桒田守社長

2025年01月07日

ゴムタイムス社

 明けましておめでとうございます。
 今年が皆さんや皆さんのご家族にとって実りの多い年になるよう願っています。また、年末年始を通して工場操業に従事された皆さんに感謝します。

 昨年は国内外で政治情勢や災害など多くの変化があった一年でした。当社関連では2月、山本特別顧問の急逝という悲しい出来事がありました。その一方、ブランディングムービーの制作やTVCMの開始、東京ミッドタウン八重洲への本社移転があり、またグループ会社の周年行事も多く行われました。設備投資関連では、バイオマス発電設備や分離精製剤プラントの建設など脱炭素とスペシャリティ事業の増強を進めたほか、11月にはトーソー・ベトナム・ポリウレタンの起工式と、CO2回収および原料化設備の完工式を行いました。

 今年の経済環境は、昨年同様に不透明と言わざるを得ません。その要因として、米国や中国の政治・経済動向、ウクライナ情勢や中東情勢の緊張継続、GHG削減への対応などがあります。このような中、次の5点を当社の課題として対応していきます。

1・安全な現場づくり
 第一に、新たな1年を従業員はもとより当社に関係する方たちが無事故・無災害で仕事ができることを心より願っています。そのためには設備保全が重要ですが、近年、プラントトラブル件数の高止まりとコスト増大が顕著なため、新たな設備保全のあり方を検討中です。従来通りの方法で設備の老朽化対策を継続できるのか、DXで何ができるのかなどを見極める必要があります。

2・スペシャリティ事業の成長
 スペシャリティ事業は、中計最終年度である今年度の営業利益目標750億円に対して未達の見込みとなっています。半導体の需要回復遅れなどの外部要因が大きな原因ですが、まずは設備投資、開発・事業化案件をスピーディーに仕上げ、来たる需要回復に必ず間に合わせることが重要です。

3・コモディティ事業の構造改革による勝ち残り
 2016~2021年にかけてはコモディティ事業の利益が当社BS(貸借対照表)改善に大きく貢献しましたが、中国の動向に左右される状況の継続や脱炭素など、ビニル・チェーンをスタートさせた時とは事業環境が激変していることを踏まえ、構造改革に取り組む必要があります。

4・エンジニアリング事業のさらなる飛躍
 水処理エンジニアリング事業(オルガノ)は半導体向けで強固なポジションを確立しており、今後も成長が期待されます。さらなる飛躍に向け、化学とエンジニアリングに関する両社の知見・技術を持ち寄り、事業領域を拡大することの可能性について検討を進めていきます。

5・GHG削減に向けた多様な選択肢と柔軟な対応
 昨年、南陽事業所ではCO2回収および原料化設備が稼働し、またバイオマス発電設備の威容も現れ始めました。さらなるGHG削減に向けてしっかりしたビジネスモデルを構築しながら、燃料転換、外部電力調達などの多様な選択肢を検討します。また、実施にあたっては経済合理性を考慮し、柔軟に対応していきます。

 今年度は中期経営計画(中計)の最終年度です。過去最高業績を受けてスタートした中計ですが、開始直後から想定外のさまざまな逆風が吹き荒れました。以前の当社なら赤字に陥りかねない厳しい環境の中で利益を出せているのは、稼ぐ力が着実についてきた証だと、私は前向きに評価しています。

 そして、今年は創立90周年を迎えます。時代の変遷とともに必要とされる化学素材も変化する中、当社は数多くの製品を提供してきました。現在も続く長寿命の製品がある一方、既に生産をやめた製品もありますが、それぞれに熱い思いで取り組んできました。社史80年史に「80年の半分にあたる40年はネガティヴ・ファクターに見舞われた年」と書かれているように、幾多の難題を乗り越えて現在の東ソーがあります。創立90年、さらに創立100年を一通過点と言えるよう「化学の革新」を目指し、努力していきましょう。

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