年頭所感 旭化成 工藤幸四郎代表取締役社長

2025年01月07日

ゴムタイムス社

 皆さん、新年あけましておめでとうございます。

 昨年はウクライナ紛争の長期化、ますます複雑化する中東紛争、世界的なインフレ等もあり、極めて予測困難な年でありました。今年は、それに加え、先進7カ国において各国政府与党が少数与党となるなど、民主主義国家の政情不安が重なりさらに予測の難しい状況になっていくと予想されます。トランプ政権も1月20日に発足します。関税強化、移民規制、減税といずれもインフレを助長する政策を掲げていますが、これもどこまで実行されるかわかりません。
 このような状況下、旭化成グループは4月より新中期経営計画をスタートさせます。2022年度からの3年間は、厳しい経営環境下において、構造改革、ポートフォリオ変革の実行と同時に成長投資も実施してきました。従って、新中期経営計画においては、さらなるポートフォリオ変革を進めるとともに、2030年に向けて成長回帰を実感できる3ヵ年にしたいと考えています。
 そのために皆さんに三つのことをお願いしたいと思います。

 まず一つ目ですが、不確実で予測不能な状況下、さまざまな地球規模の変化への対応力を備えておくことの重要性を認識し、そしてその対応力を強化することです。そのためには、サプライチェーンの整備・強化、アセットライトへの挑戦、リスク分析と情報収集力強化等が必要になってきます。ぜひとも各組織のリーダーの皆さんには、年頭にあたり、所属する組織内での変化への対応力について議論をし、必要と思われる施策をしっかりと実行に移していただきたいと思います。

 二つ目ですが、「過去の延長線上に未来はない」ということを今一度認識していただきたく思います。AI の発達が示すように、世界では激しい変革が巻き起こっています。旭化成も言うならば、「創造的破壊」「Disruption」が必要な時代です。世界に視野を広げ、自らが世界の変化を感じ取り、自らが変化を起こすその気概と覚悟を持っていただきたいと思います。

 そして、三つ目は皆さんに改めて「旭化成らしさ」について考えていただきたいと思います。当社が100 年以上の歴史を刻んでくることができた理由は、旭化成自らが「変革してきたこと」、そして旭化成らしさを「追求してきたこと」だと思います。ピュアプレイヤー・専業メーカーとの製品・ビジネスモデルの差別性を追求することこそが、当社が社会にその存在を認められ、成長する鍵でもあります。それが旭化成らしさを「追求する」ということだと考えています。変革させること、追求することの両立はまさに「不易流行(ふえきりゅうこう)」ということでもあり、それにより「旭化成らしさ」を今一度呼び起こしてほしいと思います。

 今年は巳年です。蛇は脱皮を繰り返しながら成長します。また、「知恵の象徴」でもあるそうです。当社も巳年にあやかって、皆さんの英知を結集し、変革を成し遂げ、旭化成の底力がしっかりと感じられる年になることを祈念して、新年のご挨拶とさせていただきます。

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