合成ゴム特集 東ソー 継続的に安定供給目指す ラテックスは需要が回復

2025年01月21日

ゴムタイムス社

 東ソーの24年度上半期におけるクロロプレンゴム(CR)の動向は、「23年度下半期は悪かったものの、24年度上半期の販売数量は第1四半期から堅調であり、第2四半期まで継続した。数量面、価格面ともにプラスの結果となった」(同社)。
  ドライチップに関しては、国内で自動車メーカーの不祥事の影響を受け、自動車向けの需要が不調であり、若干減少した。一方、工業用品向けは国内で横ばい。輸出においては、地域に濃淡はあるものの、インドなど特定の地域での数量が伸び、「全体としては輸出が好調で、全体的な影響をカバーした」(同)という。
 ラテックスでは、コロナ以降の在庫調整が続いていたが、ようやく在庫一掃が進み、需要が回復してきている。ただし、接着剤向けは、中国や台湾、東南アジアなど、依然として不調であり、特に中国での需要が低迷した。
 また、グローバルでトップシェアを誇るCSMは、経済業況に直接影響を受けるため、国内は自動車問題で減少。輸出は23年度が厳しかった反動でプラスとなり、欧州やアメリカが低迷しているものの、計画通りに進んだ。
 足元では、CRは高稼働が継続している。市場もタイトな状況となり、価格改定で対応している。一方、CSMは欧州やアメリカが息切れ状態だ。インドや中国が想定よりも動きは良いという。
 CRの課題として、人件費や諸コストが上昇しているなか、継続的に安定供給をしていくことを挙げる。そのなかで、ドライチップは国内のユーザーを大事にしながら、輸出では、継続的にビジネスができるように、着実に販売先を開拓していく。また、ラテックスは21年に能力増強し、現在は高稼働を維持しており、「価格面を見ると、継続的な価格改定の実施が必要になってくる」(同)。
 CSMに関しては、世界経済と連動しているため、新規顧客の取り込みを進めるほか、「HNBRの代替でベルト用途などの開拓を進め、お客様に適正スペックの見直しのひとつに、CSMを検討していただきたい」(同)としている。
 バンドー化学と共同開発したセルロースナノファイバー(CNF)複合化した新グレード「SGシリーズ」は4月から販売を開始し、反応も良く問い合わせも増えている。今後、顧客サンプルワークを提案しつつ、多用途展開を進めていく考えだ。また25年の夏以降に、SGシリーズの生産拡大をする計画としている。
 下半期の動向について、国内市場が横ばいと見ている一方、「悲観的ではないが、海外は力強さが欠けているように見えるため注視していく」(同)としながらも、前年並み以上の販売を見込んでいる。

SGシリーズ

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