豊田合成は1月8日、同社がGaNパワー半導体向けに開発したGaN基板の高品質化技術により、パワー半導体の性能を高められることが検証され、固体物理学の国際的な学術誌physica status solidiで紹介されたことを発表した。
パワー半導体は電力制御に幅広く使われるため、社会全体のCO2削減のため性能向上が求められている。素材に窒化ガリウムGaNを用いると、従来のシリコンに比べて電力制御時の損失を10分の1に減らせるなど性能を大幅に高められるが、その普及には品質が高く直径の大きなGaN基板の実用化が不可欠となる。
同社は、GaN基板の高品質化・大口径化を通じた高性能なGaNパワー半導体の幅広い社会実装を目指し、環境省が主導するプロジェクトに参画し開発を進めている。その成果の1つとして、大阪大学と共同開発した種結晶を使ってGaN基板を作製し、その基板上にパワー半導体素子を作製して動作性能を調べた結果、市販の基板を用いた場合と比べ、電力の制御性能の向上と素子製造時の歩留まりの向上が実証された。
同社は、今後も高品質・大口径のGaN基板の早期の量産化に向け、産官学連携で取り組んでいくとしている。