三井化学と三菱ケミカルは、フェノール関連製品の安定供給に向けた共同検討を開始した。
具体的には、各社の定期修理期間中やトラブル発生時の製品供給対応、両社タンクの効率的な運用、および物流の合理化によるGHG削減などについて、共同で検討していく。
フェノール関連製品には、フェノール、アセトン、アルファメチルスチレン、ビスフェノールAおよびメチルイソブチルケトンが含まれる。これらの製品については、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、MMA、エポキシ樹脂、塗料などの原料として幅広い領域で使用され、日本の経済安全保障上も重要な素材となる。しかし、2022年以降、中国を中心としたアジアでの新設備稼働に伴う大幅な供給過多による市況低迷や、国内需要の縮小などの影響を受け、フェノール関連製品の事業環境は厳しくなっている。
三井化学は、2024年4月に千葉県市原市の市原工場のフェノールプラント(年産能力19万t)について、生産を維持するための収益確保が困難と判断し、前倒しも視野に2026年度までに停止することを自社判断として既に決定している。
今後は大阪府高石市の大阪工場のフェノールプラント(年産能力20万t)を軸に、安定した製品供給を継続するために、資本効率性が高く、安定収益を上げることのできるフェノールチェーン形成を目指している。
三菱ケミカルは、茨城県神栖市の茨城事業所にフェノールプラント(年産能力28万t)を有し、ビスフェノールAなどの誘導品を展開。2024年3月に福岡県北九州市の九州事業所のビスフェノールAプラント(年産能力12万t)を自社判断で停止するなど、現在、あらゆる合理化施策を行いながら、事業の競争力強化に取り組んでいる。
そのような状況下、両社は、会社の枠を超えてフェノール関連製品の供給安定性を向上させる各種施策を実行し、GHG排出量削減にも寄与することで、今後もユーザーの価値創造に貢献していくことが重要との共通認識に至った。
今回の検討については、必要に応じ競争当局を含む関係各所の確認を取りながら進めていく。両社は、外部環境の変化に柔軟に対応しつつ、フェノール関連製品の安定供給に努めていく。