横浜ゴムが実証実験を開始 AI活用で空気圧状態を判定

2025年01月21日

ゴムタイムス社

 横浜ゴムは1月20日、トラック・バス用タイヤの打音からAI(人工知能)を活用して空気圧状態を判定する技術を開発し、実証実験を開始したことを発表した。これまでドライバーの経験に依存していたタイヤ空気圧の打音点検にAIを導入することで、判定精度向上による安全運行、省力化によるコスト削減や業務効率化、適切な空気圧管理による燃費向上などにより、物流業界の課題解決に貢献する。

 トラック・バス用タイヤの空気圧の日常点検において、空気圧ゲージによる計測はバルブ故障やエア漏れのリスクがあるほか、リアルタイムのモニタリングはコスト面での課題などがあり、依然としてハンマーによる打音点検が主流となっている。しかし、打音のみで空気圧が適正かを判断することは熟練のドライバーでも容易ではなく、手軽かつ正確に空気圧の状態を判定できる方法が求められている。

 同社はこうしたニーズに応え、METRIKAと協力して、さまざまな環境音の中からタイヤの打音を識別し、打音がいつからいつまで発生したか(打音区間)を抽出し、抽出された打音に基づいて空気圧を予測するAIアルゴリズムを開発した。さらに、専用のアプリケーションを試作し、現在、運輸会社での実証実験を実施している。本技術を実用化すればスマートフォンからタイヤの打音をアプリに録音するだけで空気圧値や充填の必要性をアプリ上で視覚的に把握できるため、専用機器の設置や判定スキルの習得なしで、誰でも高精度な空気圧点検が可能になる。

 今後は実証実験を通じて、AIアルゴリズムの精度やアプリケーションのユーザビリティのさらなる向上を進めていく。また、IoTを活用して最適な商品および運用プランの提案を迅速に行う同社独自の次世代タイヤマネジメントシステム「ティーエムエス」との連携も計画している。

 同社はトラック・バス用タイヤ事業強化の一環として、世界的に進むEVシフトの進展や自動運転車両の導入拡大に対応した技術・商品開発を加速するとともに、新たなタイヤソリューションサービスの確立を推進し、持続可能な物流の実現に貢献していくとしている。

専用アプリを使った空気圧点検の様子①

専用アプリを使った空気圧点検の様子①

専用アプリを使った空気圧点検の様子②

専用アプリを使った空気圧点検の様子②

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