東洋紡は1月20日、高耐熱性と易接着性の両立を実現した環境配慮型の二軸延伸ポリプロピレンフィルム「パイレン EXTOP XP311」を新たに開発したことを発表した。これまで食品包装用に求められる耐熱性と接着性を満たすためにPET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)などの複合素材が利用されてきた包装用フィルムにおいて、単一素材構成(モノマテリアル)化の実現に貢献する。今後、本製品について、2025年春以降の販売を目指す。
環境意識が世界的に高まる中、食品などの包装材においても、リサイクル原料や植物由来原料を使用した環境配慮型製品の需要がますます増している。一方で、耐熱性や加工適性などさまざまな性能が要求される包装用フィルムは、異なる特性・特長を持つ複数の素材を貼り合わせて設計されることが一般的であるため、リサイクルの際にそれらを分離するのが困難であるという課題がある。
新開発の「パイレン EXTOP XP311」は、同社が長年培った製膜技術を駆使することで耐熱性と接着性を大幅に向上。高い耐熱性により、ヒートシール(熱接着)など高温処理が必要な工程においてフィルムの熱収縮率を低減し、熱シワの影響を抑えられるため、包装材の見栄えを損なわない。また、優れた接着性により、複数のフィルムを貼り合わせる際、一般的な包装用PETフィルムと同等レベルのラミネート強度を実現した。これにより、従来のOPPフィルムでは難しかったPETフィルムの代替が可能になり、包装材のモノマテリアル化の実現に貢献する。さらに、「パイレン EXTOP XP311」は、業界最薄レベルの16μmの厚みやOPPとしての比重の軽さにより、プラスチック使用量の削減(減容化)にも寄与する。
同社は今後、包装材のモノマテリアル化や減容化に貢献する「パイレン EXTOP XP311」について、包装用途向けに積極的に展開するとともに、高耐熱性や易接着性といった特長を生かし、工程での熱処理やコーティング処理が必要となる工業用途向けにも積極的に訴求しながら、環境配慮型製品の一層の展開拡大に努めていくとしている。