GSIクレオスは1月27日、ブラジルにある世界最大の有機薄膜太陽電池製造グループPower Harvesting Dynamics Semiconductors Impressosと戦略的事業提携契約を締結したことを発表した。この事業提携により、同社はOPVフィルムを安定的に確保し、日本国内での後工程、敷設などを大規模に実施する体制を整えた。この安定供給体制をもとに、同社は2025年度から国立研究開発法人や国立大学法人と共同して日本国内でOPVの評価を行うとともに、ユーザー企業の実施設における大規模な実証実験を開始する。
同社は、半導体高分子を独自合成方法で量産できるカナダ企業に投資するなど、近年有機エレクトロニクス分野に注力している。様々な用途の中でもOPVは、半透明、波長選択性がある、軽量、曲がる、丸められる、製品のみならず製造過程においても環境負荷が低いなど、極めて優れた特長のある次世代太陽電池の一種で、従来のシリコン型太陽電池では設置できなかった様々な場所に展開可能なため、今後極めて大きい需要が見込まれている。一方、PHDは、傘下のSUNEWで連続製造法である「ロールツーロール法」によるOPV向け印刷技術を確立し、既に南米、北米市場の官公庁の建物やスマートオフィスの窓ガラス、大規模商業施設の採光窓などで実証、実装を進めている世界有数のOPV製造会社。
同社とPHDは、戦略的事業提携を締結することで、日本およびアジア市場での大規模な実証事業及び製品展開を図り、OPV事業の飛躍的な発展をともに目指すことで合意した。
同社は今後、PHDから供給されたOPVフィルムを国内で加工してOPVモジュールを製造し、国立研究開発法人や国立大学法人とともに、その性能評価を実施する。また、この実証研究と並行して、窓ガラスに貼り付けるなどしたOPVモジュールの実証実験を様々な産業セグメントのリアル施設で実施する。異なる条件での発電・遮熱データを収集することで各セグメントでの適応性を判断するとともに、国立研究開発法人の模擬実証サイトでの性能測定と実際の商業施設などでのデータ収集を並行して行うことで、データの信頼性を担保する。
これらの実証研究によりOPVフィルムおよびOPVモジュールの実用化を進め、全国チェーンの商業施設やホテル、コンビニ、オフィスに加え、空港、駅などの大面積採光窓などへの導入を目指す。また、実証研究を通じて十分な「投資予見性」が得られる前提で、2028年度以降にOPVフィルムの国内製造開始も計画するほか、2030年代にはアジア全域への販路拡大も見込んでいる。
同社は、1月29~31日に開催される国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(東京ビッグサイト)に出展し、OPVモジュールの展示とデモンストレーションを行う。