住友化学が2社を完全子会社化 欧州農薬事業の拡大に向け

2025年01月31日

ゴムタイムス社

 住友化学は1月30日、連結子会社であるフランスの販売会社Philagro Holdingの全株式を取得したことを発表した。また、同じく連結子会社であるスペインの販売会社Kenogardについても、全株式を取得することについて、他株主と基本合意に至り、24年度中に契約締結の予定。今後、欧州における再編やM&Aも視野に入れつつ、同社グループとの一体運営を強化し、同地域でのさらなる事業拡大を目指す。

 フィラグロとケノガードはともに、農薬を中心とした農業用資材を扱う販売会社。フィラグロは1993年に設立され、日産化学および日本農薬との合弁会社としてフランス国内での販売を担ってきた。また、ケノガードは1992年に同社を含む日本企業数社で買収し、現在は日産化学との合弁会社としてスペインおよびポルトガルにおける販売を担っている。同社は両販売会社を、世界有数の農業大国であるフランスおよびスペインにおける重要な販売拠点として位置付けてきた。

 欧州は、中南米・アジアに次ぎ、北米を凌ぐ農薬の巨大市場。同地域では厳しい環境規制が強化されており、今後の農業生産を支える柱としてバイオラショナルへの期待が高まっている。こうしたなかで、同社は、環境負荷の低い化学農薬に加え、バイオラショナルの幅広いラインアップを有することで、同地域における強固なプレゼンスを築いてきた。

 同社は、販売2社の完全子会社化を皮切りに、欧州におけるフットプリント(自社事業拠点)、ポートフォリオの強化へ向けた取り組みを加速する。欧州・中近東・アフリカ地域の農薬事業を統括するSumitomo Chemical Agro Europeとフィラグロの一体運営を進めるとともに、再編やM&Aも視野に、事業のさらなる拡充を図る。また、現在開発を進めている複数の大型殺菌剤などの化学農薬事業およびバイオラショナル事業のシナジー拡大にも取り組み、同地域における農薬関連事業全体で、2030年に現在の2倍以上の売上収益を目指す。

 同社は、これからも、持続可能な農業と世界の食糧の安定供給に貢献していくとしている。

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