住友ゴム工業と三菱ケミカルは1月30日、2025年1月から、タイヤの主原料のひとつであるカーボンブラックにおける資源循環の取り組みで協業を開始することを発表した。
今回の協業で、同社はタイヤの製造工程で発生するゴム片および使用済みタイヤの粉砕処理品(再生材料)を三菱ケミカルに供給する。三菱ケミカルはそれらの再生材料を原料の一部としてコークス炉に投入してケミカルリサイクルを行い、得られたタールからカーボンブラックを生産する。できあがった資源循環型カーボンブラックは同社が生産するタイヤの原料として使用される。
同社は、ダンロップ・ファルケンをメインブランドに、さまざまな種類のタイヤをグローバルに製造販売している。また、タイヤ事業における独自のサーキュラーエコノミー構想「トワノワ」において、使用済みタイヤをリサイクル原材料として活用することに取り組んでいる。同社は資源循環型カーボンブラックを2025年から、一部レース用タイヤおよび一部乗用車向けタイヤに採用する。2026年以降は、採用範囲の拡大を目指す。
三菱ケミカルは、タイヤの主原料のひとつであり、ゴムの補強剤として使用されているカーボンブラックを生産している。通常、カーボンブラックは石炭・石油から得られる重質油(タール等)を原料に製造されるが、タイヤ由来の再生材料を原料として使用しケミカルリサイクルする検討を行ってきた。2024年7月から開始した実証実験で既存プロセスへの影響等を評価し、このたび、資源循環型カーボンブラックの販売を開始することを決定した。コークス炉を活用し、タイヤ由来の再生材料から生産した資源循環型カーボンブラックを販売することは世界初。
現在、日本では使用済みタイヤの多くは燃焼され、熱源として再利用されているが、タイヤの構成物質の大部分を占めるゴム成分とカーボンブラックが燃焼することでCO2が排出されている。使用済みタイヤを有効な資源として再利用するシステムを構築することでCO2排出量を削減することが期待できる。同社と三菱ケミカルは、自動車・タイヤ業界のサーキュラーエコノミー実現に貢献していくとしている。