東洋紡、つるが工場設備改造 PETフィルムを3割能増 

2025年02月10日

ゴムタイムス社

 東洋紡は2月7日、液晶ディスプレーなどの偏光子保護用超複屈折フィルム「コスモシャインSRF」の生産能力を3割増強するため、福井県敦賀市、敦賀事業所内のつるがフイルム工場のPETフィルム製造設備を改造することを決定したと発表した。
 2025年度中に増産体制を構築し、2026年度より改造した新設備での量産開始を目指す。新設備では、最大で3m幅の「コスモシャインSRF」の生産が可能。ディスプレーのさらなる大型化ニーズに対応する。
 同社が2013年に上市した「コスモシャインSRF」は、液晶ディスプレーなどの偏光子保護用途として唯一のPET製のフィルムとなる。独自の製膜・素材技術と「超複屈折」という発想により、PETフィルム特有の着色(色むら)を解消。耐水性や耐久性に優れる PET製の「コスモシャインSRF」は、従来同用途で主流だったトリアセチルセルロースなど他の素材に対して、吸湿による画面の反りやゆがみが生じにくいことが高く評価され年々採用が拡大。現在、世界の液晶テレビ向け偏光子保護フィルム市場で約60%のシェアを占めている。
 今後も、液晶ディスプレー画面の大型化に伴い、同市場は2030年まで年率約3%の成長が見込まれる。
 同社は、かかる需要に対応するため、つるがフイルム工場のPETフィルム製造設備の改造を決定。速やかに「コスモシャインSRF」の生産能力の増強を図る。改造後の新設備では、従来品より幅広の3m幅の「コスモシャインSRF」の生産が可能。偏光板メーカー顧客のさらなる大型化要請にも柔軟に対応しながら、さらなる採用の拡大を目指す。これにより、つるがフイルム工場の既存の1ラインと犬山工場の2ラインと合わせて、計4ラインで「コスモシャインSRF」の生産が可能。最大約3割の生産能力の増強を実現する。
 2025年中期経営計画において、工業用フィルムを重点拡大事業に位置付ける同社は、「コスモシャインSRF」をはじめ、AIサーバーやデータセンター向けに需要伸長が見込まれる積層セラミックコンデンサの製造工程用離型フィルム「コスモピール」や、燃料電池車や風力発電施設のモーター向けに展開するPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム「テオネックス」など、同社独自の工業用フィルム製品により、ユーザーの幅広いニーズに対応していく。

コスモシャインSRF

コスモシャインSRF

つるがフイルム工場

つるがフイルム工場

 

 

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