東レが本格展開を開始 遮熱・ナノ積層フィルム

2025年03月14日

ゴムタイムス社

 東レは3月11日、高い透明性と遮熱性を備えたナノ積層フィルム「PICASUSR(ピカサス) IR」をウインドウフィルム向けに本格展開を開始したと発表した。

 省エネルギー化の要請や夏場の気温上昇を背景に、遮熱性に優れたウインドウフィルムの需要が高まっている。中でも、建築物の美観や室内からの景観を損なわないことや、自動車の視認性を確保する必要があることから、遮熱性に優れながら、透明性が高いウインドウフィルムのニーズが増えている。

 同社は、独自のナノスケールの厚みのポリマー層を数百~千層重ねることができるナノ積層技術を深化させることで、透明性と遮熱性に優れたナノ積層フィルムPICASUSR IRを創出し、自動車に初期搭載されるフロントガラスやサンルーフ向けに展開してきた。
 今回、この技術を応用し、建築物や自動車の窓に後から貼り付けるウインドウフィルム向けに業界標準の50μm厚のスタンダードタイプの販売を開始した。このスタンダードタイプは、市販の遮熱ウインドウフィルムでは最高レベルの透明性と遮熱性を有す。さらに、同等レベルの遮熱性を有する市販品と比較してナノ積層の各ポリマー層間の密着力が良好なため、施工時のリワーク性に優れるという特徴も有す。
 また、これに留まらず遮熱性能向上の要求に応えるべく、高い透明性はそのままに、さらに遮熱性をスタンダードタイプ比40%向上させた高遮熱タイプの顧客評価も本格化し、ラインナップ拡充を進めている。

 PICASUSR IRは、新築や既存建物を問わず、多くの建築物に適用できる。加えて、透明性基準の高い自動車フロントガラスにも適用可能であり、かつ一部で採用される金属スパッタ技術の課題である5G通信へも対応する優れた電波透過性も兼ね備えており、ドライバーに安全で快適な空間を提供することができる。

 同社は今後も、「有機合成化学」、「高分子化学」、「バイオテクノロジー」そして「ナノテクノロジー」という同社のコア技術を駆使して、社会を本質的に変える力のある革新的な素材の研究・技術開発を推進することで、創業以来の同社グループ企業理念である「私たちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでいくとしている。

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