旭化成と将来宇宙輸送システムは3月11日、昨年12月に、次世代宇宙輸送システムの実現に向けた活動を推進すべく、包括連携協定を締結したことを発表した。
近年、宇宙を活用した通信やデータ活用サービス等の需要拡大に伴い、人工衛星などを輸送するロケットの需要は世界的に高まっている。しかし、高まる需要に対して、国内のロケット供給・打ち上げ能力は不足しており、特に民間の国産ロケット開発は急務の課題となっている。
旭化成は、固体燃料を用いた推進システムの設計、製造や評価技術に関するノウハウならびに施設・設備を保有している。こうした保有技術と施設等を宇宙輸送分野に新たに展開し、上記課題を解決すべく、2025年より宇宙輸送にかかる事業・サービスの検討・検証を開始した。
ISCは、「毎日、人や貨物が届けられる世界。そんな当たり前を、宇宙でも。」というビジョンを掲げ、宇宙往還を可能とする次世代輸送システムの実現を目指すスタートアップ企業。2028年3月までに人工衛星打ち上げ用ロケットを開発することを目標とし、文部科学省のSBIRフェーズ3事業にも採択されている。
このたび推進システムに関する知見、施設・設備を有する旭化成と、革新的な宇宙輸送の実用化を目指すISCが連携することで、次世代宇宙輸送システムの早期実現を加速できると判断し、包括連携協定を締結するに至った。
旭化成とISCは以下の事項について連携および協力を進めていく。
①旭化成の施設・設備を利用したロケットエンジン開発:ISCが実現を目指す宇宙輸送システムに必要となるロケットエンジンの開発に関して、旭化成が保有する推進システム製造技術・評価施設(滋賀県・高島市)を活用した試験および検討を実施する。すでに2025年1月にISCのロケットエンジン開発にかかる初回試験を実施した。
②その他の技術協力の可能性検討:次世代宇宙輸送システムの実現に向け、ロケットエンジン開発以外の分野においても、両社の技術を融合させる協力の可能性を検討する。