三菱ケミカルグループは3月17日、同社の航空宇宙用途部材を使った月面探査車ヤオキが、日本時間2025年3月7日未明に月面に到着し、月面での撮影、地球への画像データ送信に成功したと発表した。ヤオキは、ロボット・宇宙開発ベンチャーのダイモンが開発、同社グループも参画する民間プロジェクトとして、日本初の月面で稼働した月面探査車となった。
ヤオキを搭載した米国の宇宙開発企業Intuitive Machinesの月着陸船が着陸時に横倒しになり、当初予定されていたヤオキの月面への放出と月面走行は行われなかったが、ヤオキは月着陸船に搭載されたまま撮影を行い、画像を地球に送信した。
また、打ち上げから全工程でデータを取得し、車輪の回転など予定されていたすべての機能が正常に動作することが、地球から確認できた。
民間企業の参入により宇宙関連市場は世界的に拡大しており、2040年までに140兆円規模になると予測されている。同社グループは、ヤオキでの取り組みも契機にして、2025年度から、月面向け部材開発プロジェクト、革新的グラファイトシート事業開発プロジェクトなど、航空宇宙関連のプロジェクトを始動させる。同社グループは、競争力のある多様な技術を組み合わせることで、革新的なソリューションを創出していく。
ヤオキには、同社グループの「技術をつなげて」生み出した高剛性・軽量の航空宇宙用途部材である4つの製品・技術が使われている。同社がこれまで培った技術を結集し、軽量化と耐衝撃性能向上を両立させている。
1つ目は、スライダーの構造設計、コンプライアントメカニズム、2つ目は、本体・デプロイヤー(ケース)、シアネートエステル樹脂製CFRP(炭素繊維強化プラスチック)、3つ目は、タイヤ、PAI(スーパーエンプラ・ポリアミドイミド)、4つ目は、レンズ、レゴリス付着抑制コーティング剤となる。