東北大学、Innochi、エスエイビジョン、三井化学ファインは3月14日、カラーレンズメガネの色の選択が姿勢制御に影響することを確認したと発表した。
スポーツやリハビリテーション、健康づくりの運動において、バランス能力は非常に重要となる。屋外の活動では様々な色のサングラスが使われるが、そのバランス能力への影響については、十分な科学的検証がされていなかった。
東北大学産学連携機構未来社会健康デザイン拠点の永富良一教授(研究推進時:大学院医工学研究科)らの研究チームは、透明レンズを含む26色のカラーレンズを使って、片脚立ちとジャンプして着地する際のバランス調節能力を精密に計測した。その結果、色によってバランス調節能力の指標である重心動揺面積が最適色では透明レンズより20%以上小さくなり、不適色では20%以上大きくなりが大きく異なることがわかった。また、透明レンズに比べてバランス能力が低下する色や改善する色は、一人一人異なることも判明した。
本研究成果は、2025年2月27日に科学誌Scientific Reportsに掲載された。
研究グループには東北大学医学系研究科運動学分野大学院生の張文玉氏、Negyesi,Janos国立ハンガリースポーツ科学大学助教(研究開始当時:大学院医工学研究科)らが加わり、共同研究企業のエスエイビジョンから市販されている透明レンズを含む26色のカラーレンズ(フィジカルサポートカラーPSC)を使用し、バランス能力を評価した。
バランス能力は、開眼片脚立ち、およびジャンプ着地する際の重心調節能力について、床反力計を用いて精密に計測した(重心動揺試験)。各色のレンズで6回のテストを行い、色によってバランス能力に対する効果が異なることがわかった。また、個人ごとにバランスが良くなる最適な色と悪くなる非適切な色が特定できることがわかった。興味深いことに、万人に共通するバランスによい色はなかった。自閉症児では、カラーレンズの色が読字速度に影響を与えることが知られていたが、健常者でバランス制御にカラーレンズが影響を与えることが、初めて明らかになった。