島津製作所が神戸事業所開所 微生物の開発期間1/10に短縮へ

2025年03月21日

ゴムタイムス社

 島津製作所は3月18日、同日に「島津製作所 バイオものづくり神戸事業所」を神戸医療産業都市(神戸市中央区)に開所したことを発表した。同事業所では、二酸化炭素(CO2)からバイオプラスチックを生産できる有用微生物を、迅速に開発することを目指す。従来に比べてシステムやネットワークの処理効率を200倍に向上させることで、有用微生物の開発期間を10分の1に短縮することが期待でき、これまで困難とされてきた有用微生物開発の高速化と、バイオプラスチック製造コストの軽減により、カーボンニュートラルの実現に寄与することを目指す。

 同社は、2023年度から新エネルギー・産業技術総合開発機構による「グリーンイノベーション基金事業/バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」で「CO2からの微生物による直接ポリマー合成技術開発」にカネカ、日揮ホールディングス、バッカス・バイオイノベーションとともに取り組んでいる。本プロジェクトで実現を目指す「バイオものづくり」では、水素酸化細菌がCO2を原料としてガス発酵を行い、ポリマーを生産、体内に蓄積する。蓄積したポリマーは抽出してバイオプラスチックに加工する。

 このたび開設した「神戸事業所」では、ラボで有用微生物を育成し、生産されるポリマーやポリマー生産の過程で発生するガスを多様な分析計測機器で分析・評価する技術を開発する。本プロジェクトで構築する予定のセミコマーシャルプラントにおいても、神戸事業所で開発した技術を応用して、培養状態を計測し、安全・高効率な発酵を支援する評価システムの開発を目指す。同社は、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LCーMS)、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCーMS)、ICP質量分析計(ICPーMS)など同社の多様な分析計測機器によって、研究に貢献していく。また、同地域に開発拠点を有するカネカ、日揮、バッカス・バイオと連携し、各社の専門知識を融合させて、化石資源に依存しない循環型バイオものづくり技術の実現を目指す。

 なお、島津製作所、カネカ、日揮、バッカス・バイオの4社は共同で、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の日本政府館(通称、日本館)において、水素酸化細菌の活用事例について展示する予定。

 同社は、中期経営計画でグリーン(GX)を企業価値創生領域と位置付けている。今後も様々な企業・研究機関とのオープンイノベーションを通じ、脱炭素社会の構築、人と地球の健康に資するグリーンイノベーションの発展に貢献する。

「島津製作所 バイオものづくり神戸事業所」

「島津製作所 バイオものづくり神戸事業所」

 

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー