住友ゴムがリスク分析実施 自然依存および影響について

2025年03月24日

ゴムタイムス社

 住友ゴム工業は3月21日、自然関連財務情報開示タスクフォースの最終提言に基づき、同社全事業における自然への依存および影響についてリスク分析を実施したと発表した。
 2023年は、タイヤ事業において、TNFD提言で推奨されている手法を用いてリスク評価を実施したが、さらなる生物多様性保全の推進に向け、このたび、スポーツ事業と産業品事業にも対象範囲を広げ、リスク評価を行った。
 スポーツ事業においては、「水資源・排水」「周辺生態系」を、産業品事業では、「水資源・排水」「周辺生態系」「土地開発」を重要課題と特定した。重要課題への対応策を検討するため、上流・直接操業・下流のバリューチェーンの段階ごとに整理し、地域性分析を行い、課題を深掘りした。
 地域分析の結果、スポーツ事業、産業品事業ともに、バリューチェーン上流で小規模なリスクを発見したほか、直接操業の「水資源・排水」「周辺生態系」におけるリスクを特定した。直接操業の「水資源・排水」において、水リスクが高いと評価されたインドネシアのゴルフボールおよびタイヤ製造工場を含む7工場では、2050年度までに工場排水の100%リサイクルを目指すことをサステナビリティ長期方針で定め、水ストレスの低減に向けた取り組みを実施している。
 また、リスク顕在化の事例として、欧米ではマイクロプラスチックに対する規制が進んでいることが確認されている。同社グループではスポーツ用人工芝からのマイクロプラスチック流出を抑制するための実証実験や天然素材充填材を採用した人工芝の開発・施工に取り組んでおり、製品の使用段階における自然関連リスクの軽減に向け取り組みを進めている。
 なお、分析の結果においては、同社の施工実績は日本国内に限定しており、それぞれの施設における自然関連リスクに有意な差はないと評価している。
 同社グループは企業理念体系「Our Philosophy」を実現するため、バリューチェーン全体のリスクと機会からマテリアリティを特定している。マテリアリティ項目のひとつとして定める「生物多様性」では、ありたい姿を「天然ゴムなど自然資源への依存と影響を自覚し、周辺の生態系と共存する企業」と掲げている。リスク分析や生態系と自然資源の恩恵を将来世代につなげるため、事業による負の影響を小さくし、生物多様性の保全と回復に努めていく。

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