UBEとDNPの合弁会社 半導体と環境分野でサービス強化

2025年03月25日

ゴムタイムス社

 大日本印刷とUBEの合弁会社のUBE科学分析センター(USAL)は、半導体関連と環境分野の分析・解析の機能・サービス強化に乗り出している。
 半導体関連では、これまでナノメートルスケールの構造解析に力を入れ、例えば燃料電池材料の微細構造がデバイスの性能に寄与することを明らかにしてきた。その経験を大規模集積回路(LSI)の微細化や複雑な3次元構造化の流れに応用すべく、ナノメートルスケールでの観察に使用する断面試料作製(前処理)が高効率で行える装置を導入した。USAL独自の分析・解析技術と新たな前処理技術を掛け合わせ、半導体デバイスの3次元構造の評価を行うことで、顧客の製品・技術開発の加速を支援する。
 また、材料分析の豊富な経験をもとに、半導体プロセスに使用するめっき液・フォトレジスト・研磨液・フィルムなどのさまざまな材料の分析に関して、ソリューション型のビジネスを展開する。
 さらに、施設に関しても、DNPグループの情報セキュリティ関連のノウハウを導入し、メーカー各社がより安心して依頼できる体制に刷新していく。
 環境分野では、USALは、持続可能な社会の実現に向けた一環として、環境分野への分析サービスを強化する。サーキュラーエコノミー実現のためのリサイクル素材やカーボンニュートラル実現のためのカーボンリサイクルにおける二酸化炭素(CO2)分離回収領域で分析・評価を強化する。
 さらなるリサイクル素材の活用に向けて、品質のバラツキや性能の劣化に関して、分子レベルからミクロな構造まで総合的に分析・解析し、課題の解決策を提案する。これによりリサイクル素材がより広い用途で・より使いやすくなるようにユーザーを支援する。
 地球温暖化防止のため、大気中のCO2や工場等から排出されたCO2を分離回収し、地中に貯留する手法などが注目されている。USALは、CO2分離回収に用いる材料に対し、さまざまな環境での応用を想定した基礎評価を提供する。さらなる技術深耕や基礎評価のラインアップを拡充し、分離回収の素材・デバイス・プラント設計に繋がる物性データの提供を目指す。また、これらの知見・ノウハウを通じてUSALは、CO2分離回収における分析・解析のデファクトスタンダードを構築していく。
 両社は素材分析等での新たな価値の創出を目指し、2024年4月からUSALで協業している。
 またUSALは、UBEグループで培った素材分析・評価技術とDNPグループの加工技術という両社の強みの連動をさらに深め、素材開発から加工・製品化まで幅広い領域での課題解決を目指して、25年4月1日に社名をDNP科学分析センターに変更する。

半導体デバイスの3次元構造の評価に使用する分析装置

半導体デバイスの3次元構造の評価に使用する分析装置

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