三菱ケミら3社が実証実験開始 製鉄由来の副生ガスで樹脂原料

2025年03月25日

ゴムタイムス社

 JFEスチール、三菱ガス化学、三菱ケミカルの3社は3月24日、水島コンビナート(岡山県倉敷市)において、製鉄プロセスから発生する副生ガスを用いてメタノールを製造し、メタノールからプラスチック原料となるプロピレンを製造する実証実験に関する覚書を締結したことを発表した。
 3社は2026年度の実証開始を目指しており、JFEスチールは、製鉄プロセスから排出される副生ガスを三菱ガス化学に供給し、三菱ガス化学は、新たに建設する実証プラントで、副生ガスを原料としたメタノール製造実証を行う。三菱ケミカルは、このメタノールを原料に、既設実証設備を活用してプロピレン製造技術の適用評価を行うとともに、その他化学品への活用を検討する。

 気候変動対応において、産業部門からのGHG排出削減は重要な社会課題であり、鉄鋼分野においては、製鉄プロセスにおけるCO2排出削減に向けて、超革新高炉や高効率・大型電気炉などの技術開発に加えて、CCUS(CO2の回収、貯留、有効活用)の検討も進めている。基礎化学品のひとつであるメタノールは、回収したCO2などから合成できるため、船舶燃料をはじめとする次世代エネルギー源として注目されており、さらに化学品市場において幅広い用途を有することから、GHG削減、炭素循環社会のための重要な物質として期待されている。また、人々の暮らしの中で広く使われているプラスチックの原料であるエチレン、プロピレンは、国内では石油を原料に製造されているが、カーボンニュートラルを達成するための技術として、メタノールを原料にこれらを製造するメタノール・トゥ・オレフィンプロセスが注目されている。

 本実証実験は、水島コンビナートにおけるGHG排出削減のため、製鉄プロセスから発生する副生ガス中のCO2を有効活用して化学品を製造するという、Hard To Abate産業(排出削減が困難な産業)が連携する新たな取り組み。将来的にこの取り組みを鉄鋼と化学の連携による炭素循環のコンセプトに発展させることにより、従来の化石資源由来の化学品製造に比較して、GHG排出量を削減することを目指す。

 3社が事業拠点を構える水島コンビナートは、多くの産業が高密度に集積しており、異業種連携によるCO2活用が期待されるエリア。水島コンビナート内のサプライチェーンを通してサステナブルな社会の構築に寄与すべく、3社で連携を強化し、本実証実験を推進していく。また、水島コンビナート内の企業各社との連携拡大についても検討を進め、地域全体でのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを推進していくとしている。

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