ミシュランは3月25日、同社が展開する海運部門の脱炭素ソリューションウィザモとフランス海事当局次世代帆船プロジェクトで初の商業契約を締結したと発表した。
同社は、海運輸送の脱炭素化を目指す次世代帆船プロジェクトウィザモを開発してきたが、フランスの海上保安を担当するDGAMPA(海事・漁業・養殖総局)に採用される極めて重要な節目を迎えた。
今回の採用にあたりDGAMPAは、同社と北フランスの造船所Socarenamを選定し、ハイブリッドと風力推進を組み合わせた革新的な海上巡視船の設計・建造・装備に取り組む。
今回の新型巡視船プロジェクトは、フランス企業3社による共同事業であり、約40年前に設計された哨戒艇(しょうかいてい)イリス号(lris)号の後継船建造を目的としている。このプロジェクトでは、海軍のメインの設計事務所であるMauric社が設計を担当、Socarenam造船所が建造を実施し、同社は革新的なウィザモ風力推進技術を搭載する役割を請け負う。
ウィザモで使用する自動伸縮式の帆は、表面積170平方メートル(1829平方フィート)で、ディーゼルと電力を併用するハイブリッド動カシステムを補完する形で、風力による補助推進力をプラスする。その結果、新型船では設計および運航全般の最適化を実現し、約15%の省エネ効果が見込まれている。
こうしたユニークな特徴により、船舶の運航や有事の介入能力を制限することなく、環境性能の面でDGMPAの期待に応えることが可能となる。
同社のウィザモは、2025年に計画されている船舶の初期設計開発段階から、当該の設計事務所や造船所と連携する。また、2027年初頭に予定されている船上設置においても、設備の完全な引き渡しまでサポートする。さらに同社のチームは、同年末に見込まれている海上試運転にも立ち会い予定となる。
この次世代型巡視船へのウィザモ導入は、同ソリューションが誇る技術的な選択を正当化するものになる。その利便性と完全格納可能なデザインは、スイスアーミーナイフのように風力推進における真の「万能ツール」といえる。
ウィザモは今後数年間で、大型船(18mから50mの大型プレジャーボートや作業船、貨物船)を含むあらゆるタイプの船舶の脱炭素化をサポートする幅広い帆船システム開発を目指している。
2025年03月26日