旭化成入社式で社長が講話 「伝統は守るべからず創るべし」

2025年04月02日

ゴムタイムス社

 新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。
 今年度は383名の新入社員の皆さんを迎え入れることとなり、心から嬉しく思います。また、旭化成グループを挙げて皆さんを歓迎します。
 本日は旭化成発祥の地である延岡での入社式での講話ですので、そのことを意識し、私から2つのことをお話しさせていただきます。旭化成とはどのような会社なのかを是非この研修期間中にできるだけ多く感じ取っていただけたらと思います。
 まず一つ目は、旭化成の歴史についてです。人には「人格」が備わっています。人は、自らが歩んできた道を記憶し、省みる力を持っています。何を考え、どう判断し、どのように成長してきたかを見つめ直す中で、「人格」は磨かれていきます。
 では企業には何があるでしょうか?「人格」が、過去の経験と真摯に向き合い、そこから学びを得て形成されるものであるとするならば、企業にもまた、歩みの中で培われた特徴があります。
 次に旭化成とは何者か?この問いに向き合うとき、従って私たちは、まずその歴史に目を向けなければなりません。創業以来、時に厳しい局面にも直面しながら、その都度、先輩たちは悩み、考え、決断し、困難を乗り越えてきました。その姿勢に学び、思いを受け継ぎ、そして自身の経験を後輩へとつなげていくこと。この継承の積み重ねこそが、旭化成という企業の「特徴・風土」をかたちづくってきたのです。
 皆さんには、この旭化成発祥の地で、また各配属先で、その歴史を学ぶことによって、この社会、世界において旭化成とは何者であるか、何を為すために生まれてきた者なのかを、創業者の野口遵氏の思いを馳せながら考えてほしいと思います。
 旭化成には理念体系があります。そのトップにあるのが旭化成グループミッションです。
 そのミッションとは、「私たち旭化成グループは、世界の人びとの「いのち」と「くらし」に貢献します。」というものであり、またそれに続くグループビジョンは、『「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、社会に新たな価値を提供していきます。』です。
 そして、その実現を支えるグループバリューとして「誠実」「挑戦」「創造」が続きます。この理念体系こそがまさに旭化成の「特徴・風土」そのものを表現していると考えています。
 今日お話ししたいことの二つ目は旭化成の特長である多様性と独自性、すなわち「Diversity×Specialty」についてです。入社前から既に皆さんご存知のように、旭化成の事業領域は、ヘルスケア、住宅、マテリアルの3つに多様化しています。この多様化している事業領域がそれぞれの力で社会に貢献していくためには、独自性を持った経営戦略と、それにより生み出される独自性のある製品・ビジネスモデルを有している必要があります。
 多様性を語るとき、しばしば多様な事業領域やそれに携わるさまざまな人財に目が向けられがちですが、今日ここで皆さんにお話ししたいことは、そういった横の多様性ではなく、製造会社としての旭化成の縦の多様性です。私たちはグローバルに製造拠点を有し、その製造拠点にてさまざまな製品を生産しています。そして、マーケティング、販売、サービスを通じてサプライチェーンとバリューチェーンを形成しています。
 その縦の流れの中で、多くの社員がそれぞれの役割を担い、その製品、サービスをまさにバトンのごとく託していくことで強いチェーンを創造しようと日夜努力しています。
 先般のコロナ禍においても、工場で製造に携わっている先輩たちは、コロナ感染防止に苦労しながら、製造ラインが止まらぬよう努力され、旭化成が誇る商品の供給に「穴」を空けることなく、営業部隊にその製品を無事届けるよう最善を尽くしてきました。
 旭化成グループの一員となられる皆さんには、旭化成グループの多様性の一つとして、そのような縦の強さがあるということも是非学んでほしいと思います。その学んだことを引き継いでいくことこそが、旭化成の「現場力」の強さにつながっていくものと信じています。
 私の好きな言葉に「伝統は守るべからず創るべし。」という言葉があります。この言葉には、今を生きる私たちこそが、自らの手で新たな伝統を築いていく「主役」であるという意味が込められています。同時に、先輩方が積み重ねてきた成果を尊重しながら、その歩みを現在へと受け継ぎ、未来へとつないでいく「意志」も感じさせる言葉です。
 旭化成では皆さん一人ひとりが主役です。そして私たちは、努力する人を支えるための土壌を有しています。新入社員の皆さんが、この旭化成グループにてAーSpirit、すなわち旭化成魂とアニマルスピリットを体現し、成長を遂げ、素晴らしい社会人生活を送られることを心より祈念し、皆さんへのお祝いの言葉とさせていただきます。
 本日は誠におめでとうございます。

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