ゼオンノースは4月7日、同社新たな溶接技術を活かしたアルミニウム製の緊急仮設橋の試作品を発表した。
アルミの軽量さを活かした緊急仮設橋は、被災地に中型トラック(4t車)で輸送し、4t車輛積載型トラッククレーンと人力だけで短時間での架設が可能となる。今後このアルミ製緊急仮設橋が、大型重機が入れない災害現場での交通網寸断を早期に解決し、いち早く人命救助に寄与することが期待される。
日本ゼオンのグループ企業である同社は、1972年に富山県高岡市で創業して以降、現在では全国で幅広い事業展開を行っている。特に近年では、同社が三者共同で開発したレーザアークハイブリッド溶接技術によって、熱伝導性の高いアルミでは難しかった厚板の溶接が可能になり、その技術を活かした大型アルミ構造物の設計・製作・施工事業に注力してきた。
特許も取得したレーザアークハイブリッド溶接技術のポイントは「厚板の長尺連続溶接」であり、この高い技術力を活かすことで、今回発表したアルミ製緊急仮設橋も軽量かつ強靭で、安全性の高い構造を実現している。
同社代表取締役社長、松崎肇氏は、「令和6年能登半島地震では、崖崩れや橋の崩落により、被災地に取り残される住民の方々がおられた。能登半島の地形から、道幅が狭く大型重機が入れない・迂回路が無い等の状況により救出や支援に多くの時間がかかったが、日本全国に同じようなリスクを抱えた市町村が多数存在していると報道されている。この地震をきっかけに、ゼオンノースでは自分たちの技術で災害支援に貢献する必要性を強く感じ、「アルミの街・高岡で製作したアルミ製仮設橋を全国に発信し、ひとりでも多く取り残された人を救う」をテーマに、この緊急仮設橋の開発に取り組んだ。」とコメントしている。
今後も同社グループは、独創的な技術・製品・サービスの提供を通じて、「持続可能な地球」と「安心で快適な人々のくらし」に貢献していく。
アルミ製緊急仮設橋の仕様は、サイズ全長25m全幅2・4m、重量約6200kg、特長は、橋は5分割にて中型トラック(4t車)で輸送可能である点や、4t車輛積載型トラッククレーンと人力だけで、被災地への架設が可能という点、5tまでの車両が通行可能な設計(救急車が通行可能)等となる。
2025年04月09日