東ソー、慶應義塾大と共同研究 フォトニクスポリマー実用に向け

2025年04月09日

ゴムタイムス社

 東ソーは4月7日、慶應義塾大学の小池康博教授(慶応フォトニクス・リサーチ・インスティテュート所長)と、プラスチック光ファイバー、光学フィルム、光学レンズなどに用いられ、今後もさらなる高機能化が求められる革新的なフォトニクスポリマーの本格的な実用化に向けた共同研究を開始したことを発表した。本共同研究は、小池教授の研究成果の社会実装、特にポリマー工業化に向けた連携を強化・加速することを目的としている。

 慶應義塾大学の小池康博教授は、フォトニクスポリマー研究の世界的な権威であり、これまでにフォトニクスポリマーテクノロジーを用いた、高速GI型(屈折率分布型)プラスチック光ファイバー、高精細・大画面ディスプレイに用いられるゼロ複屈折性ポリマーフィルムや超複屈折ポリマーフィルム、高輝度光散乱導光体、屈折率分布型ポリマーレンズなど多くの研究成果を挙げている。特に、2021年に発表されたエラーフリープラスチック光ファイバーを用いた伝送システムは、現行のガラス光ファイバーで用いられている補正回路が不要となり、消費電力、発熱、遅延、コストの問題を解決することが可能な次世代情報産業のコアテクノロジーとなることが期待される。小池教授は、このフォトニクスポリマーテクノロジーをベースに「材料の機能がシステムを変える」という視点で、先進情報通信システム、高精細・大画面ディスプレイ、未来医療を実現する先端医療機器・システムの開発などの様々な社会課題の解決に挑戦している。

 同社もかねてより光学フィルム、光学レンズなどの光学材料の研究開発およびプラスチック光ファイバーなどの次世代通信材料の創出を行ってきた。研究開発の中で培ってきたフォトニクスポリマー用高純度ポリマー合成技術を用いて、さらなる高機能化に向けて開発強化を進めている。

 本共同研究では、同社のポリマー合成技術・工業化技術と、慶應義塾大学が保有するフォトニクスポリマー機能設計技術・機能評価技術を活用し、市場評価を共同で行うことで、小池教授が研究開発を進めるトリプルゼロ複屈折ポリマーや次世代光ファイバー用ポリマーなどの早期の社会実装を目指す。

 同社は、革新的なフォトニクスポリマーの実用化を通して、今後の高度情報社会、先端医療の発展に貢献していくとしている。

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