帝人グループ4月10日は、欧州地域の環境規制のひとつである「持続可能な製品のためのエコデザイン規則」に準拠した製品の展開に向けて、2024年11月にオランダのIT企業Circulariseに出資をしており、サーキュライズのシステムを用いて、デジタルプロダクトパスポートに対応したアラミド繊維と炭素繊維の展開を開始したことを発表した。
欧州で導入が広がるESPRは、EU市場内で流通する多くの製品に適用される規則で、持続可能な製品に関する情報提供の改善を定めた規則。2024年7月、ESPRの改訂に伴い、EU市場では各業界の製品に対して段階的にDPP対応の義務化が予定されている。
将来的には、繊維などへのDPP対応の義務化も予定されており、業界をリードして環境負荷低減に資する製品の展開を目指す同社グループは、サーキュライズのシステムを活用し、DPP対応製品の展開を順次進めている。このたび、アラミド繊維と炭素繊維の一部製品においてDPPに対応した製品の展開を開始したことに伴い、当該製品を用いた実証の内容を公開した。
アラミド事業では、回収した使用済みの最終製品からアラミド繊維を取り出してパルプ状にリサイクルした製品のトレーサビリティを公開した。ユーザーはDPPを閲覧することで、海運向けロープなどを展開するハンプジャンが手掛ける、重量物運搬用の吊り具からリサイクルされた製品であることが確認できる。また、当吊り具に同社が展開するパラ系アラミド繊維「トワロン」が使用されていることや、「トワロン」の原料を遡って確認することも可能。
炭素繊維事業では、顧客が同社の炭素繊維短繊維「TENAX Next R2S P513 6mm」を用いて、自転車のタイヤを着脱する際に用いるタイヤレバーを製造したと仮定した場合のトレーサビリティを公開した。ユーザーは、DPPを閲覧することで、タイヤレバーの素材が炭素繊維短繊維であることのみならず、炭素繊維の製造工程で発生した端材由来の炭素繊維短繊維であることも遡って確認することが可能。
同社グループは、DPPに対応する製品の展開を通じて、長期ビジョンである「未来の社会を支える会社」をより具体化した「地球環境を守る会社」となることを目指す。