旭化成エレクトロニクスは4月16日、環境発電(エナジーハーベスティング)を利用した小型二次電池(充電池)向けの充電制御IC「AP4413シリーズ」を開発し、2025年2月より量産を開始したと発表した。
同社独自の超低費電流の電圧監視機能を備えており、電力が不安定になりやすい室内光等の環境発電においても充電とシステムの動作を両立させることができ、二次電池が限界まで放電した場合であっても素早いシステム復帰を可能にする。
これまで使い捨ての一次電池(コイン電池や乾電池)、小型二次電池等が使用されていた低消費電力のアプリケーションにおいて、電池交換・充電の作業が不要となるシステム開発の実現を後押しする。
小型二次電池を搭載し、環境発電により自律充電を行うシステムは、「人による充電作業が不要という利便性」と「環境負荷低減・規制対応」の両方の観点から、これまで使い捨ての一次電池が使われていたスマートリモコン、Bluetoothタグ、環境センサーなどの幅広いアプリケーションで普及が進むと見込まれている。特に欧州では一次電池の段階的撤廃の実現可能性について評価を行う「バッテリー規則(Regulation (EU) 2023/1542)」が2023年8月より施行されており、今後、二次電池への切り替えが更に進むものと考えられる。
同社は既に環境発電向けの電源ICを開発・量産しており、これまでに製品技術・アプリケーションのノウハウを蓄積してきた。電力(電圧×電流)が微小で不安定になりやすい環境発電を利用して二次電池を充電する際には、同製品のような「充電制御用IC自体による電力ロス」と、「過充電・過放電による二次電池への負荷」を減らすことが重要となる。また、二次電池はその特性から、充電残量が一度空の状態(完全放電状態)になってしまうとシステムの復帰まで相当な時間がかかる場合もある。
同製品は自己消費電流52nAと極めて小さく、効率的な充電を実現する。また、過充電・過放電となる電圧は二次電池の種類によって異なるが、同製品は複数の電圧設定をラインアップしているので、二次電池の種類に合った設定の製品を使用可能となる。二次電池が完全放電の状態になった場合でも、環境発電からの電力を一度コンデンサに蓄えて、システムに供給する機能を持っているため、空になった二次電池を充電させながらシステムを動作させることが可能となる。
2025年04月17日