最近の動向を踏まえた経団連の低炭素社会実行計画への対応について、報告を申し上げる。日本ゴム工業会では、経団連の低炭素社会実行計画について、一昨年9月に参加を表明し、その後実行計画の中身について環境委員会で検討を行い、昨年6月、常任理事会の審議を経て、経団連へ提出した。
環境委員会での検討中に東日本大戻災が発生し、電力状況等が一変したため、提出について経団連に確認したが、震災前の前提として提出を願いたいとのことであり、検討を継続し、最終的に提出したが、震災の影響が不透明なことや政府並びに経団連の具体的な検討がストップしていたことから、公表は経団連等の対外的な状況をみながら検討することとし、公表しなかった。
一方、昨年11月に経団連の関連WGが開催され、震災後のわが国のエネルギー政策、原子力政策の検討が9月頃から行われた。これを踏まえた温暖化対策の議論が開始され、今夏には国内の温暖化対策の中期目標が決定される見通し。
場合によっては、環境税や排出量取引などの規制が政府のトップダウン政策として策定される恐れがあることから、経団連としては、産業界として最大限温暖化対策を行っていることを示し、中期目標についても低炭素社会実行計画が京都議定書目標達成計画同様に産業界の対策として認知されることを目指す方針。
政府、国内外にアピールするために、実行計画の公表を9業種以外に拡大し、参加団体の増強、従来計画を公表していない業界についても今後公表をしていくこととし、日本ゴム工業会に対しても既に提出済みの実行計画を下敷きにした公表用資料の提出要請があった。
今後の対応については、環境委員会で検討したが、実行計画に基づき資料を作成し、経団連へ提出することとし、昨年12月の常任理事会で今年1月の理事会で公表、オーソライズすることの承認を得た。2月25日の提出期限に合わせて資料を提出したいと考えている。
実行計画の概要(=資料参照)は、国内生産活動における2020年度の削減目標として「これまでも当業界の対策として取り組んできたコジェネ設置による二酸化炭素排出削減効果が適切に評価可能な火力原単位方式による算定方法を採用した上で、二酸化炭素排出原単位を05年度に対して15%削減する」とした。
なお、電力の二酸化炭素排出係数は、計画作成時に判明していた直近の09年度実績を使用して算定し、今後震災の影響により係数が悪化などの場合は見直しを行う。
このほか主体間連携強化による対策として、タイヤや自動車部品による車輌走行時の二酸化炭素削減や省エネ製品の開発・供給、国際貢献として製品や海外生産工場での省エネ貢献、植林などの環境活動の強化、革新的技術の開発では生産プロセス・設備の高効率化の研究などを記載している。