東洋ゴム工業の2010年3月期中間決算の売上高はタイヤ販売増により前年同期比10・7%増 の1434億3100万円と二ケタの増収となり、収益では、原材料価格の上昇などの減益要因があったものの、売上げ増や工場操業度の向上で営業利益が40 億8700万円と黒字化した。
経常利益は前年同期12億3200万円の赤字から21億7800万円と黒字化が図られた。原材料価格・仕入れコストの 上昇45億円、為替の影響17億円、営業外損益18億円などの減益要因を、販売要因75億円、工場操業度の上昇37億円、工場コスト合理化5億円などの増 益要因がカバーした。当期純利益も9億6600万円と黒字。
タイヤ事業はエコカー補助金制度や輸出台数の増加で国内自動車生産台数が拡大、新車用タイヤは販売数量、売上げともに増加した。国内市販用タイヤも販売は 好調に推移し、海外市販用タイヤは北米をはじめ欧州市場で需要が回復したほか、東南アジ ア・中南米市場で販売が伸びた。
この結果、タイヤ事業の売上高は海外での値上げ効果もあり前年同期比8・4%増の1040 億8400万円となり、営業利益も25億600万円と黒字化した。
ダイバーテック事業の売上高は輸送機器分野での自動車用防振ゴムはじめ鉄道車両用防振ゴムの堅調な受注に支えられ、同16・7%増の392億6200万円の二ケタ増となり、営業利益も15 億3100万円と収益が大幅に改善された。
通期業績見通しは「原材料価格の高騰や円高の長期化など、先行き不透明な状況ではあるが、国内外での供給体制の整備、重要市場・新興国市場における販売基 盤の強化、更なる生産合理化などの諸施策を着実に実行する」(中倉健二社長)ことにより、前回発表時の予想を据え置く。下期の為替レートは、1USド ル=80 円、1ユーロ=110円を想定。
為替の影響45億円、原材料価格・仕入れコストの上昇109億円などが収益を圧迫するものの、売上高3000億円、前期比4・3%増、営業利益104億 円、同20%増、経常利益77億円、同14・2%減、当期純利益40億円、同35・3%増を見込んでいる。
タイヤ事業では売上高は前期比2・7%増の2200億円、営業利益は同6・7%増の74億円、ダイバーテック事業は防振ゴム及び中国、東南アジアでの堅調 な伸びが見込まれ売上高は9・1%増の800億円、営業利益は同76・7%増の30億円と大幅増益を予想。
タイヤ生産について、中倉社長は「国内の新車、市販用は前年同期比8%増、海外市販用が同11%増と世界同時不況前の2007年度とほぼ同レベルの水準に 戻った。国内の仙台、桑名工場は国内外の乗用車用タイヤ需要の持ち直しでフル生産が続いている他、米国のTNA工場も稼働率の上昇に加え、第3期拡張工場 の稼働で前年同期比40%増と好調推移している。米国のセーフガード問題で中国での委託生産量が減少しており、全体での生産ゴム量は10%の増加にとど まった。
タイヤ需要は新興国での需要増を背景に年率3~4%の伸びが見込まれている。遅ればせながら当社も中国での新工場建設、マレーシアのシルバーストーン社の 買収と生産能力の拡大を図っており、旺盛な需要に対する玉不足が解消できるが、15~16年を見据えるとまだまだ足りない。今後も250億円規模の設備投 資が必要となる」と述べた。