久留米地区見学会を実施 企業理念の原点を体感
マザープラントと呼ばれる久留米工場では、総工費160億円を投じ、2010年10月にリニューアルされた第1工場を中心に見学が行われた。 同工場は1931年に国内最初のタイヤ工場として創業を開始、敷地面積は18万3955㎡、建築面積は10万682㎡で、生産品目は航空機用、小型トラック用、トラコンパ(乗用車用スペアタイヤ)、産業・農業車輌用、レーシング用と幅広く生産している。また、タイヤの骨格となるナイロンやポリエステルなどのタイヤコード工場とモールドの専門工場を保有しており、西日本の各工場へ供給している。出荷先は新車用2割、国内販売用4割、輸出用が4割。生産量は月産3400トン、日産本数ではラジアルタイヤ1万本、航空機用タイヤ90本となっている。今回は第一工場の押出工程、成型工程などを見学。同工場の見学通路は小学生や身障者の方でも自由に見学してもらいたいとの思いからバリアフリー設計となっており、窓ガラスも子供の目線の高さに合わせてある。
デッキから工程全体を見渡せるだけでなく、加硫工程などの映像や材料なども展示されており、タイヤ生産の全工程が把握できる。
また、機械の色を3色に統一することにより、安全危険箇所が一目でわかる設計となっている。
新工場のコンセプトには「クリーン・コンパクト・コストパフォーマンス」の「3C」を掲げており、環境にやさしく、小スペースで、生産性の高い工場を目指している。 最大の特徴は中間材料や生タイヤの搬送を機械で自動化した自動搬送システムで、同システムは中間材料を自動搬送する「材料自動搬送システム」、別建屋の加硫工程へと生タイヤを搬送する「生タイヤ自動搬送システム」の二つの柱で構築されており、高スペース効率、運搬工数削減、品質向上を実現している。 既存工場との比較では、25%のスペースレス、30%の生産性向上を達成している。
リニューアルに併せ新設されたエントランスの「展示スペース」には、創業者が実際に使用した家具で再現した社長室や創業当時に生産されたタイヤの展示、工場のジオラマ、壁には年表を展示しており、操業当時や同社の歴史を体感できるスペースとなっている。 新工場には先人たちが築いた創業者の理念を確実に次世代に継承していくという役割がある。 創業者のゆかりの地を訪問することで、同社の原点について思いを馳せ理解してもらうことが、企業理念をグローバルに浸透させるためにも益々重要となっていると感じた。