東レ 「CNT透明導電フィルム」の量産化技術開発を確立

2012年02月14日

ゴムタイムス社

 東レ(株)(本社東京都中央区、日學昭廣社長、以下東レ)は、世界で初めて2層カーボンナノチューブ(2層CNT)を使った透明導電フィルム(以下「CNT透明導電フィルム」)の量産化技術を確立した。
 今回量産化技術を確立したCNT透明導電フィルムは、90%以上という高い光透過率と、実用的に十分な導電性を高いレベルで両立した。また、現在主流のITO(酸化インジウムスズ)フィルムに比べて折り曲げたり、引き伸ばしたりしても断線しない柔軟性があり、耐湿熱性や耐衝撃性にも優れているため、高い耐久性や実用上の信頼性を備えている。さらには、ITOフィルムが若干黄色がかった色目であるのに対して、CNT透明導電フィルムは無彩色な色目であることから、ディスプレイの色再現性の邪魔になりにくく、近年急速に普及が進んでいる電子書籍や電子看板等の電子ペーパー用途に向いてる。
 品揃えとしては、光透過率90%、表面抵抗値500Ω/□の標準グレードと、光透過率92%、表面抵抗値2500Ω/□の高透明グレードの2種類。

 今回の開発のポイントは、直径が1.5~2nmと細い2層CNTをフィルム上に均一に塗布する技術の確立にあるという。
 同社は、既に直径が細く結晶性が高い、体積抵抗値4.4×10-4Ω・㎝という世界最高レベルの導電性を示す2層CNTの製造技術を確立している。(日米で物質特許取得済み)。フィルムに導電性を付与するためには、このCNTを液体中に分散させ、フィルムの表面に塗布する加工を行うのだが、細い直径のCNTは一般的に液中でCNT同士が束になって凝集することから、高性能な製品を得ることは難しいとされてきた。
 今回、同社のCNTが2層である特長を生かして、2層のうち外層に極性を持たせる処理を施して互いに反発させ束をほぐすことに成功し、凝集のない均一な分散液が製造できるようになった。さらに、同社が長年培ってきたフィルム加工技術を駆使することでCNT分散液の精密な塗布加工を可能にし、高性能かつ高品質なCNT透明導電フィルムを量産できる技術の確立に至ったという。

 同社は、今回の開発成果を、2月15日(水)~17(金)に東京ビッグサイトで開催される「nano tech 2012(第11回ナノテクノロジー総合展・技術会議)」に出展する。

 

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