味の素(株)と東レ(株)は、この度、味の素社が植物原料から発酵技術により製造するアミノ酸・リジンを原料とするナイロン原料、ペンタン-1,5-ジアミン(以下1,5-PD)の製造、およびそれを原料として用いたバイオベースナイロンの事業化に向けた共同研究を開始することに合意した。
バイオベースナイロンは、植物原料から製造される化学品を重合して製造したナイロン。このたび両社が共同で研究開発を行うバイオベースナイロンは、植物原料から発酵技術で製造され、味の素グループの主力製品であるアミノ酸・リジンを酵素反応により脱炭酸することで製造した1,5-PDを、東レがジカルボン酸と重合することにより製造した。この1,5-PDを原料として用いたバイオベースナイロン繊維は、原料のジアミンが植物由来で再生可能なだけでなく、例えば、それを原料として製造したナイロン56繊維では、従来の石油化学由来のヘキサメチレンジアミンを原料としたナイロン繊維と比較し、強度や耐熱性が同等で肌触りもよく、綿に近い吸放湿性を有することから、着用快適性に優れた衣料品への展開が期待できる。
両社は既に、味の素社が製造する飼料用リジンを用いた1,5-PDの試作と、その重合によるバイオベースナイロンの試作に成功している。今後は、さらに検討規模をスケールアップし、製造プロセスの開発および、繊維や樹脂用途としての利用評価等を進めていく予定だという。
今回、アミノ酸のトップメーカーである味の素社とナイロン繊維のトップメーカーである東レが連携することにより、品質・環境・コスト面で競争力があるバイオベースナイロン製品の創出が可能になる。さらに、東レが開発中の膜利用バイオ変換技術を1,5-PDの原料であるリジンの製造技術に活用することも視野に入れて連携を深めていく。
味の素社は、21世紀の人類社会の課題である「地球持続性」「食資源」「健康な生活」の実現に、事業を通じて貢献していく。コア技術とするバイオ・ファイン技術を活かし、バイオ・ファイン事業分野に、新事業としてバイオ素材分野を加え、低炭素社会および持続可能な資源循環型社会の実現に向けた取組みを推進していく。味の素社では、今後も、新事業・新製品開発を加速するために、国内外の企業・機関との連携によるオープンイノベーションを積極的に推進していく。
東レは、「全ての事業戦略の軸足を地球環境に置き、持続可能な低炭素社会の実現に向けて貢献していく」という経営方針のもと、バイオベースナイロンをふくむ、バイオマス由来ポリマーの研究・開発およびポリ乳酸(PLA)を中心としたバイオマス由来材料事業の拡大を推進していく。また、昨年4月からスタートさせた新しい中期経営課題“プロジェクトAP-G2013”で掲げる「グリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクト」においても、バイオベースポリマーの拡大は中核を成す重要な取組みと考えている。
味の素株式会社 概要
(1) 代表者 |
: |
取締役社長 伊藤雅俊 |
(2) 所在地 |
: |
東京都中央区京橋1-15-1 |
(3) 設 立 |
: |
1925年12月17日(創業:1909年5月20日) |
(4) 売上高 |
: |
1兆2,076億円(2011年3月31日現在) |
(5) 従業員数 |
: |
(単体)3,310名(2011年3月31日現在) |
(6) 事業内容 |
: |
調味料、加工食品、アミノ酸、医薬品、化成品の製造・販売 |
東レ株式会社 概要
(1) 代表者 |
: |
代表取締役社長 |
(2) 所在地 |
: |
東京都中央区日本橋室町2丁目1番1号 |
(3) 設 立 |
: |
1926年1月 |
(4) 売上高 |
: |
1兆5,397億円(2011年3月31日現在) |
(5) 従業員数 |
: |
(単体)6,797名(2011年3月31日現在) |
(6) 事業内容 |
: |
繊維、プラスチック・ケミカル、情報通信材料・機器、炭素繊維複合材料、 環境・エンジニアリング、ライフサイエンス、その他の製造・販売 |