帝人化成㈱はバイオポリカーボネート樹脂を自社開発し、事業化に向けた市場調査や量産技術確立に取り組んできたが7月8日、顧客の要求特性を充分満たす量産技術を確立し、サンプル提供を開始したと発表した。
同社は、アジア地域における有力なPC樹脂メーカーとして、優れた透明性・耐衝撃性・耐熱性などの特長を持つPC樹脂「パンライト」を中心に、自動車やエレクトロニクスなど様々な用途で市場展開している。
こうした中、地球温暖化防止や化石資源の消費削減など、地球環境保全の機運はますます高まり、顧客からの環境配慮素材に対する要望も強さを増している。
同社グループではグリーンケミストリー(地球環境の保護・改善に貢献する技術・高機能素材)を重点技術領域の1つと定めており、先端素材やバイオ素材などの研究開発の強化を図っている。
開発した樹脂は、トウモロコシの実などから製造されるイソソルビドを主原料とした環境にやさしいプラスチック。約70%の高い植物度を有する。汎用的なバイオ樹脂であるポリ乳酸が55℃で変形するのに対し、同社のバイオPC樹脂は最大140℃まで耐熱性を高めることが可能で、加えて高い耐加水分解性や耐衝撃性、耐傷付性、曲げ弾性率なども有する。また、通常のPC樹脂と比べても油や有機溶剤などに対し、高い耐薬品性を示す。光透過率は91%と高く、光学歪も小さく、レンズやディスク、フィルムなど光学特性を要求される用途に適する。
松山工場(愛媛県)で年産数100㌧規模の生産を計画、数年内には3000㌧体制を目指す。
2011年07月18日