【CMB特集】 三洋ゴム工業 若手経営者を育成

2012年03月15日

ゴムタイムス社

工業会の活動で 東北復興需要に迅速対応

 2011年は東日本大震災、さらにはタイでの大洪水など自然災害によりゴム製品の需要環境が大きく変動した一年であった。日本ゴム精練工業会加盟各社の生産状況をベースに、昨年年間のゴムコンパウンド需要は12万㌧を若干下回る水準で推移したものと推測されている。同工業会の君島秀夫会長(三洋ゴム工業社長)に話を聞いた。

 ―昨年の需要動向について。
 君島会長 リーマンショックによる世界同時不況から日本の景気も急激に悪化し、ゴム製品需要も急減したが、昨年年初はその立ち直りから順調な出足を感じていた。CMB需要も年初の1~2月は回復基調で推移したが、3月の東日本大震災の影響で一転した。サプライチェーンが寸断され、自動車生産の減少による影響が強く、4月以降は6月まで厳しい状況が続いた。
 ―当時は原材料メーカーが被災し、EPDMなど合成ゴムや一部のゴム薬品などの調達が混乱しました。
 君島会長 鹿島のプラントが被災してエチレン生産がストップ、合成ゴムの生産も止まるなど緊急事態となった。加えて、ゴム薬品メーカーの被災の影響も大きく、一部のゴム薬品は緊急対応として輸入品の調達の動きもあった。しかし、比較的短期間でゴム薬品の調達問題は解消された。
 ―夏以降の需要動向は。
 君島会長 自動車生産も回復し、緩やかながらも回復基調をたどることが予想されたが、海外生産の拡大などグローバル展開の加速から国内需要は引き続き厳しい環境で推移した。
 記憶に新しいが、東京電力管轄圏での昨夏の計画停電の影響も大きかった。一律15%の電力量削減が求められ、大手の工場では輪番生産なども実施され、生産計画の調整で苦労されたようだ。
 ―昨年のCMBの生産水準は。
 君島会長 福島原子力発電所の事故もあり、震災の影響は長引くことが予想されたが、先ほども話した通り、比較的短期で材料調達面が解消され、自動車生産も再開、ゴム製品需要は緩やかながらも回復傾向に転じた。しかしながら、全体的な回復力は乏しく、2011年の年間トータルでは前年並みかややダウンが見込まれ、生産量は12万㌧を若干下回ったのではないか。
 ―新年度の工業会の活動計画について。
 君島会長 日本ゴム精練工業会が設立されて以来20年余が経過したが、振り返ると設立当初に尽力された諸先輩方がここ1~2年内に相次ぎ亡くなられ、時代の変遷を感じる。工業会のメンバーも若返りが進み、総会など会合では若い経営者の姿も見られるようになり、こうした若い方たちの意見も取り入れ、研修やセミナーなど有意義な活動を実施したいと考えている。地道な活動ながら会員企業の経営に参考になればと思っている。
 ―最後に、新年度の需要見通しは。
 君島会長 震災から一年が経過するが、東北地域の本格的な復旧はインフラ関連も含めてこれからだろう。情報を収集して迅速対応していきたい。(2012年2月27日紙面掲載)

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