特殊ゴム中心に 技術力を高めて水平展開
2011年はリーマンショック後の立ち直りから需要回復基調を示していたCM業界。しかしながら、昨年3月に発生した東日本大震災は、ゴム産業と関わりの深い自動車産業においても大きな打撃を受けた。さらに、10月にはタイにおいて大規模な洪水が発生、自然災害の脅威に見舞われた一年となった。自動車向けに特殊コンパウンドを供給するゼオンポリミクス㈱の山本誠社長に話を聞いた。
―震災の影響について
山本社長 一部ゴム薬品メーカーが被災され、一時入荷できないゴム薬品が発 生したが、緊急対応ということでお客様の承認を頂き、代替品で何とか凌いだ。しかし、材料供給面は比較的短期に回復し、予想以上に早く通常体制に戻ったこ とは不幸中の幸いだったと思う。
―今期の業況は
山本社長 震災の影響で、内需は4月、5月が悪かった。自動車業界のサプラ イチェーン問題から自動車生産が大きくダウンしたため。5月を底に6月から復 旧した。その後は順調に回復して、上期実績は予算を上回るベースで推移した。 予算的には震災は当然予想外のことで、市場環境として大きく伸びることは難しいと判断していたが、震災からの復旧が予想以上に早く、結果として上期はまずまずの業績となった。
下期についてだが、回復基調にストップがかかり、10月以降は月を追うごとに 徐々に悪化した。タイの洪水問題も影響していると思われる。
―タイ工場の洪水による影響は
山本社長 ゼオンアドバンスドポリミクス(ZAP)はバンコクより南のラヨ ーン県に位置し、洪水被害は、幸いにも無かったが、一部のお客様の工場が水没 し、生産がストップした影響から、生産レベルは8割弱程度で推移した。年初には回復基調に入っている。
―新年度の需要見通しは
山本社長 新年度の需要動向については、見通しが立っていないのが実情だ。国内の完成車メーカーは昨年の生産減を取り戻す勢いで、強気の生産計画を発表 しているが、新車生産の動向に注視したい。
当社としては、親会社である日本ゼオンの特殊ゴムを中心に、CMとして販売 している立場であり、今後もこの方針は変わらない。
―グローバル展開について
山本社長 海外ではタイのZAP、中国のZPG、そして国内はゼオンポリミ クスと、アジア域内で3ヵ国で展開している。ゼオンポリミクスがCM生産技術のマザー工場としての役割を果たし、技術力を一層高めて水平展開することでグ ローバルな生産の拡大にもつなげていきたい。
アジアを中心に、自動車メーカーは海外生産にシフトしていくことが予想され 、各生産地でのCM供給体制をさらに強化していくことが今後のカギになる。(2012年2月27日紙面掲載)