東洋ゴム工業は、震災から一年となる3月11日を迎えるにあたり、中倉社長よりグループ社員に向けてメッセージを発信した。
社長メッセージ(要約)
明後日3月11日、世界が記憶に残すことになった東日本大震災からちょうど1年を迎えます。私たちの大事な仲間を含め、尊い命を落とされた多くの方々に改めて心から哀悼の意を捧げたいと思います。
東洋ゴムグループでは、タイヤの主力生産基地である仙台工場、自動車部品や一般産業用ゴム製品を扱う福島ゴム、ウレタン製品を扱うソフランウイズいわき工場という3つの生産拠点が被災しました。
非常時は常識で考えてはならない。私たちの先にはお客様がいる。だから、私たちは必ず立ち直る。
そういう気持ちが自然と皆さん一人ひとりの中に生まれ、沸き立ち、復興を押す風となって、東洋ゴムグループの復活を果たしたのだと感謝しています。
苦難を乗り越えられたのは、私たち自身の不屈の精神の証であり、仕事をさせてもらっている地域の方々をはじめ数多くの方々の支えがあったからこそでもあります。
私たちは多くのものを失いましたが、多くのことを学びました。人間の無力のほどを思い知らされ、しかし、人間の智恵と心のすばらしさについて改めて胸に刻むことができました。
東洋ゴムグループは被災企業として明後日を迎えます。被災しなかった企業と何が違うでしょうか。
事業においてはリカバリを余儀なくされ、業績のビハインドはあるでしょう。しかしながら、お客様の大切さに改めて思いを馳せたこと、仲間同士の絆、新しい智恵の発露、全社的な連帯の意思、こうした「新しい力」を携えることができたともいえます。
今、同じ地震が起こったら何ができるでしょうか。この震災では、「想定外」という言葉が頻繁に使われました。想定外とはなんだったのか、危機管理の観点から総力を挙げてその洗い直しを行ないました。そして、同規模の震災で別の国内拠点が被災した場合のシミュレーションを詰め、本年6月末にはBCP(事業継続計画)のモデルケースを完成させます。そして、それを全社に展開していきます。東洋ゴムグループは、被災経験に基づいた「危機に対して備えある企業であること」を強みにしていきたいと思います。
被災した同社仙台工場、福島ゴム、ソフランウイズいわき工場は、ともに昨年5月6日、震災前の水準まで操業を回復した。