JSRは特殊オレフィン系熱可塑性エラストマーでパラフィンを固定化することにより、従来のパラフィン系潜熱蓄熱材料に比べ、潜熱量を40~100%向上させた潜熱蓄熱材料「CALGRIP」を開発した。
同製品を活用することで、従来の一般保冷剤に比べ、保冷時間が2倍から4倍程度延長されることになるため、保冷設備のためのスペースを縮小することが可能になる。
優れた蓄熱効果から、効率の良い空調システム、躯体蓄熱、貯湯槽蓄熱など、様々な用途で検討が開始され、電力需要負荷の平準化や計画停電時の対応にも貢献できるものと期待されている。
さらに、蓄熱量を向上させたことにより、従来に比べて少量の潜熱蓄熱材料でも同等の蓄熱効果を発揮できることから、省スペース化、省コスト化にも貢献できるという。
同製品は従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーの分子設計を見直し、潜熱蓄熱材料として広く採用されているパラフィンとの相性を改善することで高度にパラフィンを固定化することに成功したことにより開発された。熱可塑性エラストマー材料由来の優れた成形性やリサイクル性を持ち合わせ、多様な用途に見合った形状への成型が可能で、保冷、空調、躯体蓄熱、貯湯槽蓄熱など用途にあわせて、4℃、9℃、18℃、25℃、80℃と5段階の製品をラインナップしている。今後は同社のグループ企業で新設する建物の空調システムにおいて、実証検討を進めていく予定。
潜熱とは、物質が固体から液体にかわるなど物質の状態が変化する際に放出されたり吸収したりするエネルギー。潜熱蓄熱材料は、その性能を活かして、冷熱や温熱を蓄えておくことができるため、夜間の電力や太陽熱などの自然エネルギーの有効活用に適用されており、コスト削減や環境負荷低減に貢献する材料として注目されている。