合成ゴムの主原料であるブタジエンの海外価格が高騰を続けている。プラッツ社指標によると、7月15日、現在でFOBコーリアでトン当たり4300㌦、CFRサウスイーストアジアでトン当たり4100㌦の高値を付けている。
こうした海外ブタジエン価格の高騰の背景には、資材関係者によると、アメリカ クラッカーのライトフィードへの移行、アジアのエチレンクラッカーの定修、台湾のフォルモサプラスチック(FPC)、シンガポールシェルのクラッカートラブルー等によりブタジエンが供給不足となったことが要因として挙げられている。
ブタジエンは、主に自動車タイヤ向けの合成ゴム原料として使用され、アジアを中心に新興国や南米での高成長が見込まれている。 一方、供給に関しては、その殆どがナフサクラッカー由来であるため、今後、中東ガスベースの安価な汎用エチレン誘導品の流入により、アジアのナフサクラッカーは減産となりブタジエンの生産も減少する。数年後にはアジア全体で100万トン以上ものブタジエンが不足するとも言われており、急増するタイヤ需要に追い付かないのが実情。 石油化学業界では、主製品エチレンにおいて 最もコスト優位性があり、C4留分の含有量の少ない天然ガス等への使用原料の転換が進む中、今後、ブタジエンの抽出原料であるC4留分は、更なる供給不足が見込まれている。
また、ブタジエンの需要拡大をにらみ、丸紅、双日の両社が南米最大の石油化学会社「ブラスケム社」とブタジエンの長期引取契約を締結している。
海外と国内の価格差が大きく開くと、海外クラッカーとの競争力の問題からC4留分の値上げ、国内のブタジエン価格も高騰することになり、ブタジエンの需要拡大に伴う価格高騰の長期化は避けられないとみる向きが多い。
2011年07月25日