東部ゴム商組(西山博務理事長)は3月15日、東京・中央区の銀座ラフィナートでベルト・ホース商工懇談会を開催した。(本紙既報) 懇談会では、第16回ベルト流通動態調査の結果概要が説明された。調査は同組合ベルト部会員企業25社および同部会選定の組合員企業17社の計42社を対象に、平成23年下期の半年間を対象時期に実施された。回答率は88%。ベルト製品を伝動(V形、歯型、特殊)、搬送(ゴム、樹脂)に分類し、売上高と価格、ベルト需要の将来性、ベルトの月商など11の設問で回答が求められた。
調査結果の概要は次の通り。
〈ベルトの販売上の問題点〉
今回も伝動特殊を除く4品目が「価格競争が激しい」の項が1位回答となった。とくに伝動歯形の前回24%から今回34%、搬送ゴムの前回22%から今回37%、搬送樹脂の前回21%から今回34%と、この3品目の数値が大きく上昇したのが目立った。 伝動で問題となる「取引単位が小口」は、Vが前回23%から今回は19%、歯形は11%から7%と改善が見られた。これは搬送ゴム、搬送樹脂でも同様であり、需要の回復が伺える。 一方で、搬送ゴムの「粗利が低い」、搬送樹脂の「競合先が多すぎる」など、価格競争に関連する項目も増加しており、市場競争が一層激しくなっていることが判明した。 競争要因は「粗利率が低い」「競合先が多すぎる」「価格競争が激しい」「供給過剰である」「値引き要請が激しい」の5項目であり、伝動特殊は25%、伝動Vがほぼ50%、これら以外の伝動歯形、搬送ゴム、搬送樹脂は過半数となっている。
〈廃棄物処理問題〉
平成3年の第6回調査から実施している。使用済みベルトの廃棄処理の際の問題点について回答が求められた。 結果は「産業廃棄物として処理」が50%で1位回答。以下「今まで廃棄問題が起こっていない」が35%、「一般廃棄物として処理」は15%で、調査開始以来、大きな変化はみられない。 ベルトを一般廃棄物として処理している企業もあることから、同組合とし「ベルトは産業廃棄物であり法令に則り、適正に処理することが原則」であることを徹底する方針。かねてより産業廃棄物処理の適正化については啓蒙活動を行い、委託業者リストを作成することも検討している。 産業廃棄物として適正に処理されているのは、伝動ベルトで70%程度、搬送ベルトでは80%程度となっている。前回調査に比べて「一般廃棄物として処理」が全ての品種で5~9%程度高くなっている。 業者に委託処理する際に、産廃物とともにマニフェストを常時提出する割合は82%の高率で、前回調査と比べて12ポイントの増加となった。ここにきて産廃処理に関する認識が高まっていることが伺える。
〈ベルト産廃物の委託費用〉
委託処理費用について「5万円未満」から「100万円以上」までの7段階で回答が求められた。今回調査では「10万円以上~30万円未満」が40%で一番多く、相対的に見て処理費用は増加傾向にある。 〈ベルト廃棄物処理問題の経営への影響〉 「今後、徐々に問題化し、経営上ある程度の影響あり」とする回答は24%で、前回調査比では5ポイント減少した。同設問が初調査された平成3年の第6回から12回調査までは50~60%台だったが、今回は24%と大きく減少。 経営上、織り込み済みの企業が増えていることの表れと言えよう。 〈輸入ベルト問題〉 輸入ベルトに関する設問は、平成7年下期対象の第8回調査から実施。早くから日本市場に定着し、日本法人があり、日本ベルト工業会会員の海外メーカー品は含めない。 輸入ベルトの仕入れ・販売の有無は「ある」が伝動で10ポイント増加して23%、搬送は4ポイント増の17%となり、いずれも過去最高値を示した。 輸入ベルトを販売した企業(伝動8社、搬送6社)にベルト販売におけるシェアを「5%以内」から「30%以内」まで4段階に分けて調査された。 結果は、全ての企業が「5%以内」と回答しており、輸入ベルトの市場における影響は、まだ相当低いというのが実情のようだ。
〈輸入ベルトの価格〉
取扱いの有る無しに関わらず、サンプルなども市場に出回っていることから、その品質・価格については周知のこととして品種別に回答が求められた。 価格は、伝動で「安い」の回答が計32%、前回調査比では28ポイントの大幅減少。搬送も同55%で、前回比4ポイント減。これに対応する形で、伝動で「高い」の計が前回のゼロから12%に上昇した。 〈輸入ベルトの品質〉 伝動で「かなり良い」8%、「国産とあまり変わらない」32%。逆に「あまり良くない」の回答は12%で、品質を評価する回答がしない回答を大きく上回った。搬送はそれぞれ36%ずつで評価は2分している。