省エネベルトに注力 海外の補修市場も積極展開へ
横浜ゴムの本年度上期(4―9月)の搬送ベルト事業は、3月に発生した東日本大震災による電力関連設備を中心とした緊急的な補修需要の高まりから、国内は堅調な受注が続いており、輸出を含めた全体の業績は前年同期比1割程度の伸びとなる。
「震災により、工場やプラントの生産設備が被害を受け、復興を目指して夏までに立ち上げようと設備投資が急激に増加した背景がある。その中で搬送ベルトの受注も増え、当面はその復興需要が継続する見通し」(同社)。
製鉄関連需要については、粗鋼生産は前年対比横ばいで、同社のベルト出荷量も同様の推移をしているとみている。
一方、海外需要は急激かつ大幅な円高基調により事業採算が悪化、今後も円高基調の継続が予想されることから、当面は国内販売に注力する方針だ。
同社の搬送ベルトの主力商品では「ユニコンFXベルト」がある。同ベルトは耐噛み込み性能を高めた特殊ポリエステル帆布を使用した汎用ベルトで、高い耐久性能を保持している。「ロックユニコンプロテックスベルト」はクラッシャー下などの厳しい耐衝撃性が要求されるラインや永久伸びをきらうラインに最適。このほか大容量運搬に適したスチールコードコンベヤベルト、多層帆布コンベヤベルト、耐衝撃性コンベヤベルトなど幅広い商品を揃えている。
今春、同社は合成ゴムなど原材料価格の高騰を理由にベルト製品の価格改定を打ち出し、8月までに全てのユーザーとの間で決着をみたが、その後もジリジリと材料高が続いたことから、一部の大手顧客に対して第2次の値上げを打ち出した。
下期以降の販売戦略については、高炉メーカーの投資マインドの縮小や大手製鉄メーカーの統合問題など需要家サイドの動向に注視し、ニーズを先取りする製品開発で受注確保に努める。「国内市場が大きく伸びることは期待できない中で、在庫削減や物流費の削減など徹底した効率化を推進する一方で、より一層省エネに貢献する搬送ベルトの開発に注力していく」(同社)。
製販分離で専門販社を設立
海外展開では、今年5月にコンベヤベルトを含むMB製品の販売会社「上海優科豪馬(よこはま)ゴム制品商貿有限会社」を中国上海に設立した。これまで、同社のMB部門はコンベヤベルトの販売など3つのグループ会社を設立し、主に日系OEM納入を中心に活動してきた。しかし、中国経済の急激な発展により、補修用市場の規模も拡大を続けており、この市場に積極的に対応するため、製販分離によって販売専門会社を設立した。(2011年10月24日紙面掲載)