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東拓工業
「成長と体質強化」図る 12年度事業方針 簡易排水装置を全国販売へ
東拓工業㈱の2012年2月期業績は、上期の増収が寄与、下期の減収をカバーして売上高は増収 となったが、収益面は原材料価格の上昇などが影響し、合理化努力や一部製品の価格修正などを実施 したが、減益となった。
工業用ホース類は震災による緊急支援での出荷増があり、フル生産を続け、上期は約2割の伸びと なり、通期では2ケタ増。電設用パイプは公共投資抑制など市場環境は厳しかったが、拡販活動によ り物件受注に成功した。土木用パイプは、公共投資関連が低迷したが、前期並みを確保、家電用ホー スはエコポイント制度終了などの環境変化で低迷した。
新年度の事業方針については、従来から進めてきた「東拓独自の製品」づくりを通して、他社との 差別化を引き続き推進するが「成長と体質強化」に主軸を置く。成長では新製品の積極投入を行い、 同時に既存商品の底上げを図る。顧客志向でホースの実験デモ会や各種の販促キャンペーン、工場見 学会などを通じて、顧客との接点を拡げる。体質強化では、技術・生産・営業・管理部門がコストダ ウンなど、恒常的な業務改善活動を推進する。
「国内市場は今後、大きな伸びが難しいと予想されるが、きめ細かくニーズに対応し、顧客満足度 を高めていくことで販売を伸ばしていきたい」(同社)としている。
機能商品の1つとして期待されるのが「トータク簡易排水装置」。橋梁伸縮装置などの漏水を集排 水することにより、橋げたや支承などの鋼材の腐食予防に効果を発揮するシステムで、国交省新技術 情報提供システム(NETIS)登録済み。同社では全国規模での営業を開始、3年後には4億円程 度の販売を計画している。
一方、海外事業では、東拓工業(蘇州)有限公司で家電用クリーナホースを生産し、日系メーカー を中心に納入実績をあげている。さらに東南アジア、中国で工業用ホースの市場調査を行っており、日系のみならずローカルユーザーへの販売および現地生産も視野に入れている。(2012年4月16日紙面掲載)
上期は8%の増収に 工業用は約2割増 「TACフルオロ」に注力
東拓工業㈱の本年上期の業績は、売上高は前年同期比8%の増加となった。工業用ホース部門は堅調に推移し、同18%と2割近い伸びを確保。電設部門は同13%の増加で順調に推移、土木部門は公共投資抑制の影響などから減収、家電部門も減収となった。
工業用ホース部門は、震災関連での緊急復旧用でのホースの出荷が増加した。また、ダクトホースや高圧ホース、耐圧ホースも好調に推移した。電設部門は厳しい市況の中、いくつかの物件受注もあり、全体としては伸長した。
一方、収益面は原材料価格の高騰により収益が圧迫されたこともあり、上期は減益となった。工業用ホースについては、原材料価格の高騰により価格改定を実施し、7月1日出荷分から15%以上の値上げを打ち出し「原材料動向は需要家も十分把握されており、ほぼ理解を得ている」としている。
下期の事業展開については、今夏に上市したフッ素ホースの「TACフルオロ」の販売に力を入れる。この新製品は、安全性や使いやすさを追求した製品で、積極的なPR活動を実施している。特殊な製品でもあり、デモ機などでの実演も活用し、多くのユーザーに商品説明を行っている。具体的には薬品や化学品、食品の輸送用途をターゲットに拡販する予定でいる。
「TACフルオロ」は安全性および使いやすさを追求したフッ素ホース。3フッ化樹脂で化学反応しにくいため、耐薬品性に優れるほか、流体がつきにくく、撥水性に優れているため洗浄が容易、さらに溶出しにくいため、液体の変質が少なく、食品衛生法に適合する。
主な特徴はリーズナブルスペック、簡単接続(TACフルオロ用しめTACを使用)、内面平滑でよく曲がる、オール樹脂製で軽量、サクション・デリバリー両用。品種は「TACフルオロA」「TACフルオロC」「TACフルオロAアース」「TACフルオロCアース」の4種がある。
同社では「下期は上期に比べて勢いが弱まってきているが、通期では前期比5%増程度の見通し。工業用ホースは引き続き堅調で、通期では15%増を見込んでいる。電設部門も好調に推移する見込みで、土木部門は不透明で、先行きが読めない」と分析している。(2011年11月28日紙面掲載)