テイジン・アラミドB.V.(オランダ・アーネム市)が製造販売するパラ系アラミド繊維「トワロン」が、重量物運搬船「ハッピー・バッカニア(Happy Buccaneer)」号に装着される海上用重量物クレーンの特殊ケーブルに採用された。
世界で最も歴史のある船級協会「ロイド船級協会」の品質基準を満たす海上用重量物クレーンとして、アラミド繊維が採用されたのは初めて。
帝人グループが事業化している高機能繊維・パラ系アラミド繊維は、強度や防弾、防刃性などに優れ、主に自動車のブレーキパッドなどの摩擦材やタイヤの補強材、光ファイバーケーブルの補強材などに使用されている。
特に「トワロン」は、軽量だが同じ重量の鉄に比べ6倍の強度で、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、柔軟性に優れるなど、ケーブル用途に適した特性を有する。同製品使用の特殊ケーブルは、細径、軽量ながら920トンという極めて高い最低破断強力を実現。また、高い安全性を兼ね備え、厳しい気候条件下でも使用可能。取り扱いやクレーンへの取り付けも容易だ。
「トワロン」製のケーブルを装着した「ハッピー・バッカニア」号のクレーンは、アームを半径55メートルまで伸ばすことができる。35メートルまで伸ばした状態で、最大350トンの重量物をつり上げることも可能。アームの伸展距離およびつり上げ可能な重量が、従来に比べて倍増した。
「ハッピー・バッカニア」号は、BigLift Shipping B.V.(オランダ・アムステルダム市)の代表的な船舶で、1984年から世界を航海し、さまざまな重量物を運搬している。同製品のケーブル使用により、同運搬船の作業範囲は大幅に広がり、作業効率も向上すると見られる。