日本ロール製造㈱(東京都江戸川区、青木要助社長)は、創業以来、日本の近代化の一翼を担って製鉄用ロールをはじめ、鋼鉄用機械プラント、および化学用機械プラント、丸棒、塩化ビニールパイプなどを生産し、新素材の開発に対応するため、ゴム、プラスチック用の混練、圧延成形のための試験、研究設備を常設している。
特にゴムの混練に欠かせないミキシングロール機に搭載するACサーボ油圧圧下システムと、高冷却効率ドリルドロールに注力する。
近年、タイヤの性能向上のためゴムに多品種の添加剤や薬品の配合がされ、その分散の良否がタイヤの性能に大きな影響を与えており、特にシリカ配合のタイヤはその転がり抵抗の減少による燃費性能や耐久性、グリップ性の優れたタイヤと認められ、各企業が競って その開発に全力を注いでいる。そこで同社は、タイヤ製造の基礎となる混練においても、より配合の分散、高能率の混練が求められ、ユーザーの要望にこたえるためにACサーボ油圧圧下システムを開発した。
同製品は1バッチのゴムを混練経過時間に合わせて最適な剪断速度が得られるようにロールスキマを高速、高頻度、高精度で調整することを実現。自動化対応でロールスキマ設定の選択を遠隔操作することでヒューマンエラーを防ぐことに貢献する。また荷重変動によるロール間隙の変化を極小にし、ロールスキマの高精度設定・保持などロール間隙検出器による隙間変動を自動修正もする。既設機械にも取り付けができる特徴をもっている。 また高冷却効率ドリルドロールでは、従来のミキシングロール機は1パスループ方式で混練する場合、密閉式混練機から排出されたゴムの温度140℃を混練の理想とされる温度80℃以下に冷却することは不可能だったが、高冷却効率ドリルドロールは140℃の排出ゴムを200秒で90℃、350秒で80℃以下に冷却することを可能にした。同製品は冷却熱媒体の流路であるドリルド孔数を従来の約2倍、さらにロール表面とドリルド孔までの距離を従来の半分にすることで、大幅に熱伝達率が向上した高冷却効率ドリルドロールである。 このドリルド孔の配置は従来の鋳造法によるロールでは不可能で、同製品の特殊鋳造ロールによって初めて実現可能になったという。 ミキシングロール機に高冷却効率ドリルドロールを搭載し、ACサーボ油圧圧下システムを取り付ければ、シリカとゴムの配合上の問題を解決し、均一な分散を可能にする。また低温領域(80℃以下)でロール隙間を小さく、ゴムに強力な剪断を与えながら薄出しの状態での混練方式で効果を発揮する。
同社の昨年の実績は、企業の投資意欲が減退するなか、増収となり、今後もより性能に優れた製品の開発に力を注ぐ「技術を売る企業」として展開していく。
2012年04月03日