付加価値商品で新規開拓
製鉄用ロールが堅調推移 出荷金額は前年並み確保
ゴム・樹脂ロールは印刷用をはじめ、OA・AV機器、製紙、製鉄、繊維、フィルムなどの産業界にとって必要不可欠な製品であり、各種産業での製造工程やライン内に組み込まれ、重要な基幹部品としての役割を担っている。印刷用では環境対応インキに最適なロール材質の開発や高画質な電子印刷の再現、事務機用では複写機・OA機器用プリンターの高精度・高画質化、フィルムラミネート、金属加工用途での製造歩留まりアップや処理能力アップ、液晶マーケットでのフラットパネルディスプレイ製造工程における細密化、大型化、薄肉化、鉄鋼向けでは長寿命化、耐薬品性・耐酸性といった過酷な現場ニーズに合わせた高耐久性ロールの開発など市場要請に対応した克服すべき技術的課題も多い。さらには需要が回復基調にさしかかった現状、需要減退時に絞り込んだ生産体制の再構築も喫緊の事業課題であり、販売面では現場からのニーズを集約した高付加価値製品による提案型営業の推進も急務となっている。
また、中国市場での需要業界の生産拡大に対応、日系メーカーの要請を受けて、中国での販売・生産拠点の設立も活発化している。
2011年のゴム・樹脂ロールの生産実績は、日本ゴム工業会ロール部会統計によると、上期前半は東日本大地震の影響で製紙をはじめとする需要業界の生産ダウンやロールメーカーの東北地区工場被災で一時生産が停止されるなどにより、低水準で推移。下期以降、需要業界の立ち上がりとともに徐々に生産が回復したものの、年間ではゴムロール生産が前年比98・4%、合成樹脂ロールが同108・6%の合計4186㌧、同99・3%とほぼ前年横ばいの水準となった。