【ホース特集】 ユーシー産業 高収益商品群を柱に

2012年04月09日

ゴムタイムス社

特集企業・ホース・各社の現況
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 ユーシー産業

 高収益商品群を柱に 12年度は「DNT」 国内はニッチ市場で展開

 ユーシー産業㈱の2011年12月期決算は、上期が国内のエアコン販売の好調やホームセンター 向け一般商材も震災復興需要から順調に推移したが、下期は原材料高により収益圧迫、エアコン販 売減に伴う工事ベースの減少などが影響し、売上高は微増にとどまった。収益面は製品価格の改定 も実施、収益構成の改善などにより増益となった。
 昨年の東日本大震災に関連して、同社は7月に仙台市に長期出張の形で専任者をおき、復興需要 のみならず新規需要開拓にも注力し、曲がる塩ビ管を屋内・屋外の排水システムとして提案を開始 した。「被災地でのユーザー獲得だけでなく、アナログ的なアクションから新たな用途開発を行い 、ビジネスモデルの構築を図りたい」(永吉社長)。
 3ヵ年を見越した中期の経営戦略については、選択と集中により収益貢献度の高い商品群をプロ ダクトミックスに落とし込み、価格競争などムダな競争は回避する方針。各製品のマーケットポジ ションを確かめ、パワーバランスを考えて、より優位性のある商品構成に特化させる。
 「今後5年間で現行アイテムの30%程度について、在庫負担が少なく、収益率の良い製品に置き 換わるくらいの大胆な施策を実施したい」(同氏)。
 このため、同社は12年度のスローガンを「DNT」に定めた。これはドメスティック・ニッチ・ トップの略で、ニッチな市場分野において、数多くのトップシェアを有する高収益商品を柱に据え る。
 新年度の事業展開は、鳥取工場で生産するダクトホースで新規OEMユーザーへの供給を今年3 月から開始した。今後、一定比率で納入量が増える見通しだ。
 一方、海外事業については、中国・東莞工場と上海工場の一体的運営に着手、マネジメントにお いて管理手法を統一させる。東莞工場はエアコン用ドレンホースが好調に推移、年間出荷本数は1 300万本を超える実績。中国では、人件費の高騰もありワーカーを2年以内に半減させる計画で 、新年度は自動化・省力化など生産効率向上を図りながら能力増強を進め、中国以外の日系企業へ の拡販や中国の優良ローカルメーカーとの取引も拡大させ、東莞工場では年間2000万本の生産 体制を構築する。
 上海工場は選択と集中の施策から生産撤退した製品があり、将来的には東莞工場との統合を視野 に入れている。
 新商品の開発動向については「管工機材分野で拡販に努めてきたが、中心は屋内排水であり、屋 外使用は提案できていなかった。このため、橋りょうフレキをはじめとする屋外用の曲がる塩ビ管 の提案を進めており、埋設タイプも含め、積極販売する」(同氏)。とくに、東北地域において、 きめ細かな営業活動により、市場ニーズを迅速に把握して需要確保に努める。(2012年4月9日紙面掲載)

 屋外用の配管も提案 東莞工場での増産を計画

 永吉昭二社長に聞く(*『吉』の字は「土」の下に「口」)

 ユーシー産業の2011年12月期決算は、国内は上期がエアコン販売の好調、ホームセンター向け一般商材も震災復興需要があり順調に推移したが、下期は原材料高により収益が大きく圧迫、需要も回復基調から一転して厳しいものとなり、通期では前年比105%程度、収益 は横ばいの見通しとなっている。同社の永吉社長に現況を聞いた。

 〈震災および原発事故関連について〉 
 永吉社長 一般市場向け商品や空調部材などは震災直後、各ユーザーにおける在庫確保が進み、OEM先においても在庫確保の動きが活発となり、通年より大幅に受注が増えた。しかしながら、エアコン関連は冷夏と節電による販売量の低下により、実質的な工事量も減ったため 前半良かった分までも帳消しになるほど出荷量は低下した。
 また、一般市場においても震災後の一般消費材に対する購買意欲も低下したため、出荷量は低下傾向となった。
 なお、震災・原発事故に関しては、直結する特需などは無く、今後復興事業の中で、いかに当社の製品の有効性を提案していくかがカギになる。

 〈原材料価格高騰への対処は〉
 永吉社長 前回の原材料価格高騰の際に、値上げ交渉を価格が安定するまで待ち、結果的にその上げ幅は数段階上がったうちの最終段階分の一部のみしか認めてもらえず、大きく収益性は低下したため、今回は夏過ぎまで予測し、春先から交渉を開始した。
 しかし、大型ユーザーへの値上げが実施できたのは10月からとなり、それまでの間、利益を大きく圧縮することとなった。最終的には、今までにない範囲で値上げを実施でき、10月以降は圧縮された利益の回復が図れるものと期待している。

 〈ホース事業の重点施策は〉
 永吉社長 震災に関連して、今年7月に仙台市に長期出張の形で専任者をおき、復興需要のみならず新規需要の中で「曲がる塩ビ管」を屋内・屋外の排水用として提案を開始した。多くの新規用途やユーザーの獲得を進めており、少しでも復興のお手伝いをしたいと考えている。  具体的には、単に現地でのユーザー獲得だけでなく、アナログ的なアクションから新たな用途開発を行い、ビジネスモデルの構築も図りたい。

 〈新商品の開発動向は〉
 永吉社長 これまで、管工機材分野での拡販に努めてきたが、その中心は屋内排水であり、 屋外使用はほとんど提案できていなかった。このため、今春から「橋りょうフレキ」をはじめ とする屋外用の「曲がる塩ビ管」の提案を進めており、埋設タイプも含め、積極販売する 。
 とくに東北エリアにおいて、末端への営業活動により、情報を収集して市場ニーズに即した改良を進め、用途開発を進めていく。

 〈通期のホース事業の業績見込みは〉
 永吉社長 全体的には、上期の好調が下期の落ち込みで相殺される状況ではあるが、下期後半の値上げ効果もあり、通期の売上高は前年対比105%の微増、収益面はほぼ横ばいを見込 んでいる。
 新年度は新規OEMユーザーへの供給開始、液状化対策管のニーズもあり、その他の製品出 荷量が維持できれば7%程度の増収が見込めるだろう。今後、限られたリソースの中で、選択 と集中を繰り返し、効率化を図ることにより収益増大を実現させていきたい。

 〈グローバル展開について〉
 永吉社長 中国の東莞工場はエアコン向けドレンホースが好調に推移、今年9月時点の出荷量は1000万本を超え、年間では1300万本を超える見込み。しかし、人件費の上昇や材料費のアップ分を吸収できない限り、価格の維持は難しく、現在大幅な自動化を進めている。
 2012年度は更なる自動化・省力化を推進し、生産キャパシティとして50%アップを行い ながらワーカーを2年以内に現在の半分まで削減することを目指し、市場での優位性を維持するだけでなく、中国以外の日系マーケットへの拡販、さらに中国においては優良メーカーとの取引を開始し、東莞工場では年間2000万本の生産体制を3年後をめどに確立させる。
 上海工場においてもホースではない新商品の投入を計画しており、業績の安定化を目指す。(2011年11月28日紙面掲載)

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