ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(本社:米国ミシガン州)は、2011年4月に公開した米国での投資計画の一環として、ダウのテキサス州フリーポート所在の石化コンビナート内に、世界規模のエチレン生産プラントを新設すると発表した。
米国シェールガスの供給増によってもたらされる基礎原料の優位性を、米国事業向けに一段と活用する目的で、2017年の稼働を目指す。 同プラントの建設には、最大で2千人の労働者が雇用される見通し。今後5~7年間に、同プロジェクト及び他の米国での投資計画を合わせると、建設のピーク時には最大4800人の雇用を創出し、米国全体では3万5千人を上回る雇用を支えると、同社では試算している。
アンドリュー・リバリス会長兼CEOは、「米国の天然ガス価格は、過去10年間で初めて手頃な水準となり、比較的安定して推移している。米国製造業は再生の時を迎えようとしている。こうした市場の動きをいち早く捉え、グローバル事業の収益性を高める一方、地元地域の経済活性化を支える投資計画を発表でき、嬉しい」と述べている。
低コストの天然ガス由来の原料供給を確保することで、同社の機能製品事業と最先端事業の競合性が高まり、同社の戦略は大きく前進する。同社はこれらの事業を通じて、多くの消費者市場向けに化学品素材を供給するとしている。
テキサス州フリーポートの石化コンビナートは、同社所有のコンビナートの中でも世界最大の規模で、単独企業の化学工場としては北米最大。4200人の従業員と3千人の契約社員が働くテキサス州の生産拠点では、現在、米国で販売される同社製品の44パーセント、世界で販売される製品の21パーセント強を生産。新エチレン生産プラントは、南北アメリカ大陸の原料需要増に対応するとともに、同社製品の垂直統合化をより盤石にし、変革戦略をさらに推し進めると期待される。